魔王/モダンタイムス
暑くなってきましたね。。。7月もあと10日ですもんね。。。
東京あたりよりは全然マシとは思っていても、バテそうです。アイス食べたい。。。
さて、まりあの伊坂祭り、今回は一気に⑥、⑦に関する記事になります。
早速あらすじです。
●あらすじ●
〜魔王〜
会社員の安藤はある日超能力に目覚める。自らが念じた言葉を他人の口から発することができるため、彼はこの能力を「腹話術」と呼んでいた。力を手に入れたことで少しづつ変わりつつ日常に、可能性を抱き始める。
あるカリスマ政治家によって大きく変わろうとしている日本に危機感を抱いていた安藤はこの力で流れを変えられるのでは?と考える。一方、安藤の弟にもある超能力が目覚めて、、、、
〜モダンタイムス〜
「魔王」の描く時代から50年後の世界。恐妻家で社畜のシステムエンジニア、渡辺拓海はうっかり運命を感じた女性と浮気をし、それがあっさりと妻にバレる。その翌日、新たに会社から言い渡された謎の仕事。なんでも優秀な先輩が逃げ出してしまったとのことで、その後釜を任されてしまう。プログラムの秘密に気づき、暗号を解読して真相に近づいていくと、次々と後輩や上司がトラブルに巻き込まれていく!?謎だらけの仕事には何が隠されているのか?もしかしてアレもコレも妻の仕業?と疑心暗記になりながらも本当の真実にじわじわと近づいていく、勇気ある主人公の物語。
という感じです。
2つに共通するテーマは政治、そして勇気でしょうか?
魔王はカリスマ政治家によってファシズムを思わせる世の中の流れに危機感を覚える主人公のお話。
モダンタイムスでは新たなカリスマ政治家が台頭しており、その政治家が英雄となった契機となった事件が関係しています。
正直、魔王は政治の話が強くて、始終「まりあは政治がわからぬ。。。」と思いながら読んでいました。
まぁ政治がわからなくても、超能力を得た主人公たちがどうなるのか、という部分に注目すればなんとかなります笑
前半は安藤、後半はその弟のお話で、私は弟のお話の方が難しくなくて面白かったなぁ〜と思いました。
ちょっと前半は緊張感が強かったかな。
モダンタイムスはまったく違う主人公と登場人物のお話ですが、事件に巻き込まれて真相に近づいていく場面で
魔王のお話に関係してきます。
多分魔王を読んでいなくても、ちゃんとわかるようにはなってると思いますが、
絶対に魔王を読んでからの方がスムーズだし、面白いはずです。
なので、今回2作品セットで記事にしています。
それでは2つの作品を通して気になったところや感想を書いていきます!
●安藤、俺はもっと、闘う大人になる予定だったんだよな。対決してよ、世界を変えちゃうくらいのさ。
でもよ、この道をあと何年進もうと、恰好いい大人には辿りつかない気がするんだ。
こちらは魔王の主人公である安藤の友人の言葉。
みなさんは小さい頃から漠然と、こんな大人になりたい、大人になったらこんなふうになっているんだろうな、と思っていませんでしたか?
小学生からみた中学生はカッコよく見えるのに、高校生から見た20歳は大人に見えるのに、
いざその年齢になっても全然カッコよくもない、大人になった気にならない。
自分たち、そして多くの人たちは、ただ時がすぎて、ただ流されていれば「かっこいい大人」にたどり着けると思っていたけれど、
このままあと何年進もうと、そこには辿りつかないし、世界なんて変えられない。
なんとなく共感したので付箋を貼りましたが、この言葉がのちの主人公を焚きつけ、
この後の展開に大きく関わってくる重要なフレーズと思いました。
●ごきげんよう、お久しぶり
今後ヤツの呼称として採用したいと思いました。
いや、ごきげんよくもないし、久しぶりどころか永久に会わない方がいいヤツなんですけどね。
ちなみに実家には以前いましたが、撲滅したんだと思います。最近はお久しぶりなので、多分。
●夫婦喧嘩一つでもさ、こうやって苛々したり、憂鬱になったりするでしょ。夫が浮気したとか、妻が家出したとか。そんな状況の時にさ、憲法の改正がどうとか、自衛隊はどうなるとか言われてもさ、正直、それどころじゃないよね。
世界の問題よりも、自分の問題だ。
読んでる時は「せやな、それな」ぐらいの軽い気持ちで付箋を貼ったはず。
大きな世界の問題を変えるのは大事なことなんだけど、まずは自分の目の前の問題。
この作品では「世界の問題について考えられるのは暇人」と言っています。
もしかしたら、確かに、本当に自分の小さな問題を簡単に解決できて余裕がある人もいるかもしれないけど、
本当は、自分の小さな目の前も解決したいけど、それは犠牲にして世界のことを考えてくれている人たちもいるかもしれないと私は思います。
政治家、とか。小さな規模でいったら学校の生徒会とか、学級委員長にあたるんじゃないかな。
あとは私の仕事で言ったら、臨床をやりながら研究もしている人たちとか。
目の前の患者さんも助けたいけど、新しい薬を開発するのも、大事。
どっちも大事なんだろうな。私はまだ、目の前のことで精一杯だなぁと思いました。
モダンタイムスにも、似たような部分があります。
「人間は大きな目的のために生きているんじゃない。もっと小さな目的のために生きている。」
大きな目的のために頑張ろうとするのも大切だけど、それができなくて挫折してしまったら、
まずは目の前の小さな目的を達成してみる、それも大事。
●俺の小説が、過去に映画化されたのは知っているだろ。
なったんだよ。その時にだ、俺は痛感したね。小説にとって大事な部分ってのは、映画化された瞬間にことごとく抜け落ちていくんだ。
モダンタイムスには、主人公の友人として小説家が登場します。その名も、なんと、井坂好太郎!
おおー。この名前の由来は、この作品のあとがきに著者自ら説明があり、ただ名前を考えるのが億劫だっただけみたいですが。
ただ、ちょいちょい、著者の本音を出しているのでは?と邪推したくなる部分もありました。
上記部分もその一部です。モダンタイムスを著者が手掛けていた頃には、何作品か、映画化されているので、
おや、と思ってしまいました。
他の場面でも、「作家の真意は、三割ほどしか伝わらないものだからな」と書いてありました。
30点は平均点、50点は上出来だそうです。私も平均点くらいはとれていればいいんだけど、、、と思いました。。。。
●二度と会えないことほどやり切れないものはないよ。そう思わない?取り返しがつかないことだから
恐妻家の主人公、の、その妻のセリフ。私もお別れは嫌いです!
この奥さんは怖いし、普通の人とは感覚が違うところも多いけど、共感できるところもいっぱいありました。
結構今まで読んできた登場人物の中でも好きな方ですね。
「これもお別れの一種だよ」と美味しいデザートを食べ終わってしまったことを悲しむのも、共感できました。
(私はただの食いしん坊説)
さて、2つの作品を通してこんなところでしょうか。
モダンタイムスは最初、妻が邪魔だな、と思ってたんですけど、だんだん好きになってしまいました。
ちょっと、いや、かなりメンヘラ?これをメンヘラと呼ぶのかは不明だけど。
一途だし、意志が強いし、夫を痛めつけるのも守るのも彼女のさじ加減。
また他の作品でもお目にかかりたいなぁ。
それでは、私と皆様は、またお次の作品でお会いしましょう♪