本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

推し、燃ゆ

2ヶ月振り、今年初めての更新です!😎

芥川賞直木賞の発表に続き、本日は本屋大賞2021のノミネート作品が発表になりました!

今日はそんな芥川賞受賞とともに本屋大賞ノミネート作品にも選ばれている

宇佐見りん 著、「推し、燃ゆ」について書いていきます。

 

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最近多くの読了ツイートを見かけて気になっていたのですが、

芥川賞受賞の速報をきいて早速読みました。

芥川賞受賞作なだけあって、4時間くらいで読めました。

 

作品概要は以下、Amazonからの引用になります。

「逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が三島賞候補の21歳、圧巻の第二作。」

 

とのこと。大学生である著者の二作目にあたる作品だそうです。

簡単にあらすじをまとめます。

 

主人公は女子高生のあかり。忘れっぽく、不注意で、勉強やアルバイトも思い通りにいかない。

そんなあかりの推しはアイドルグループの上野真幸。

推しの行動、会話は全て記録し、推しのメンバーカラーで身を固め、推しの星座占いのラッキーアイテムを持ち歩く。

アルバイト以外の時間は推しのためにあり、そのアルバイトで稼いだ金も推しに全て注ぎ込む。

推しを推している、それがあかりの支え、というよりはあかりそのものであり、まさに背骨であった。

しかし、ある日突然、推しが女性を殴って炎上したーーーー!

 

 

ということで、お話は推しているアイドルが炎上するところから始まり、以降

自分にとっての推しとはなんなのか、を中心に淡々と語られていきます。

作中でははっきり語られないものの、あかりの忘れっぽさや勉強のできなさは発達障害から来るものであると示唆されており、

理解してくれているのは保健室の先生だけで、

家族からは疎まれ、アルバイト先でもただのできない子として扱われています。

「障害からくる症状」のあかりの捉え方や、周囲から理解が得られていない様子、

そして推しに関することだけは誰よりも几帳面に執着する様子が的確に表現されているようであり、

あかりの感じている生きづらさが私の胸を抉ってくるような印象を受けました。

 

それではぼちぼち、気になったことや感想を書いていきます。

ネタバレしてしまうと思うので、まだ読んでいない方はここでストップして、

読んでからできれば語りましょう。。。

 

Amazonのレビューで気になったこと

読了後、他人の意見を知りたくてAmazonのレビューを漁っていたところ「発達障害を理解し受け入れることができるかで評価が分かれる」、という低評価のコメントを見つけました。

この方は実際に周りにいる、あかりのような障害を持つ人に普段迷惑をかけられていることから、

あかりのような人はいない方がいい!という意見のようでした。

私はこの作品を読みながらひたすらにあかりの生きづらさをひしひしと感じていましたが、

この方は、あかりを迷惑な他人と捉えて客観的に、それもかなり遠くから眺めて読んでいたのだなと思いました。

あまり人の意見を否定するつもりはないのですが、この作品を読んで

あかりのような人はいない方がいい!というのは少しずれているように感じます。

この作品は、ただあかり、という高校生がいて、自分ではどうしようもない状況にある、という物語であって、

迷惑だと思うけど受け入れて優しくしてあげましょうね、という趣旨は全くないと感じました。

実際こういう人がいて本人も困っているのだから、いた方がいいか、いない方がいいかということではないですよね。

いない方が、いいかもしれないけど、実際いるのだから。。。

 

②推しを推す能力について

あかりの推しを推す能力も、「ある一定のものに対する執着」であり、発達障害の特徴の一つになっています。

普段は勉強ができないのに、推しの出演作品は歴史背景まで隅々まで勉強し、

ラジオは全て文字起こしして記録する。

私にも一応推し、はいるのですがあかりのようにはなかなかできるものではありません。

そもそも私の推しは推しなのか?推しと言うにはもっと推しのことを知らないとダメなのかと逆に不安になるほどでした。

 

③なぜ推しはファンを殴ったのだろうか

あかりは推しが炎上して、その後の行動にぶんぶんと振り回されつつも、

一切推しに対する不満、怒りの感情を持つことはありません。

他のファンたちは「あんなに貢いだのに裏切られた!」と怒りをあらわにするのに対して

あかりは「なぜ推しはファンを殴ったのだろうか」と疑問を浮かべるだけ。

ふとここで気になったのは、同じ疑問。

結局作中で推しがファンを殴った真相については一切明かされません。

どうして?

これまであかりは推しの行動全てに注目し、記録と記憶に残してきたのにも関わらず

なぜファンを殴ったのか、積極的に真相を知りたいとは思わなかったのでしょうか。

インスタライブやツイッターなど、本人に届いて答えは来ないかもしれないにせよ、

質問したり自分の気持ちをぶつけたりするチャンスはありました。

積極的に情報を得ようとはしない、ただ供給されたものをそのまま取り込んできただけだったのでしょうか。

 

 

④あかりはこの後どうなるのか。

③の続きのようになりますが、この先推しからの「供給」は完全にストップしてしまいました。

今までの供給だけで生きていくのか?

今までのできなさに加えて、背骨まで失ってしまうのか?

 

ラストのシーンでは自分でばら撒いた綿棒を膝をついて「お骨を拾い集めるように」丁寧に拾っている。

さらに這いつくばった姿勢を自分の生きる姿勢、これからしばらくこの姿勢で生きようと言っている。

少し前のページで祖母の「火葬」にも触れていることから、

推しは燃え、骨になり散らばり、

そしてあかりは背骨を失って二足歩行ができなくなったということ。。。?

と、私はそんなふうに感じました。

あかりについては何の解決もなく物語は終わってしまうため、かなり人それぞれ解釈の分かれるところかなと思います。

みなさんはラストシーンから何を感じましたか。。。?

 

ということで感想は以上になります。

それでは、このあとは本屋大賞ノミネート作品を読もうと思います!

ここまで読んでいただきありがとうございましたー!

ぜひコメントを残して行ってくださいねー!