本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

推し、燃ゆ

2ヶ月振り、今年初めての更新です!😎

芥川賞直木賞の発表に続き、本日は本屋大賞2021のノミネート作品が発表になりました!

今日はそんな芥川賞受賞とともに本屋大賞ノミネート作品にも選ばれている

宇佐見りん 著、「推し、燃ゆ」について書いていきます。

 

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最近多くの読了ツイートを見かけて気になっていたのですが、

芥川賞受賞の速報をきいて早速読みました。

芥川賞受賞作なだけあって、4時間くらいで読めました。

 

作品概要は以下、Amazonからの引用になります。

「逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を“解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が三島賞候補の21歳、圧巻の第二作。」

 

とのこと。大学生である著者の二作目にあたる作品だそうです。

簡単にあらすじをまとめます。

 

主人公は女子高生のあかり。忘れっぽく、不注意で、勉強やアルバイトも思い通りにいかない。

そんなあかりの推しはアイドルグループの上野真幸。

推しの行動、会話は全て記録し、推しのメンバーカラーで身を固め、推しの星座占いのラッキーアイテムを持ち歩く。

アルバイト以外の時間は推しのためにあり、そのアルバイトで稼いだ金も推しに全て注ぎ込む。

推しを推している、それがあかりの支え、というよりはあかりそのものであり、まさに背骨であった。

しかし、ある日突然、推しが女性を殴って炎上したーーーー!

 

 

ということで、お話は推しているアイドルが炎上するところから始まり、以降

自分にとっての推しとはなんなのか、を中心に淡々と語られていきます。

作中でははっきり語られないものの、あかりの忘れっぽさや勉強のできなさは発達障害から来るものであると示唆されており、

理解してくれているのは保健室の先生だけで、

家族からは疎まれ、アルバイト先でもただのできない子として扱われています。

「障害からくる症状」のあかりの捉え方や、周囲から理解が得られていない様子、

そして推しに関することだけは誰よりも几帳面に執着する様子が的確に表現されているようであり、

あかりの感じている生きづらさが私の胸を抉ってくるような印象を受けました。

 

それではぼちぼち、気になったことや感想を書いていきます。

ネタバレしてしまうと思うので、まだ読んでいない方はここでストップして、

読んでからできれば語りましょう。。。

 

Amazonのレビューで気になったこと

読了後、他人の意見を知りたくてAmazonのレビューを漁っていたところ「発達障害を理解し受け入れることができるかで評価が分かれる」、という低評価のコメントを見つけました。

この方は実際に周りにいる、あかりのような障害を持つ人に普段迷惑をかけられていることから、

あかりのような人はいない方がいい!という意見のようでした。

私はこの作品を読みながらひたすらにあかりの生きづらさをひしひしと感じていましたが、

この方は、あかりを迷惑な他人と捉えて客観的に、それもかなり遠くから眺めて読んでいたのだなと思いました。

あまり人の意見を否定するつもりはないのですが、この作品を読んで

あかりのような人はいない方がいい!というのは少しずれているように感じます。

この作品は、ただあかり、という高校生がいて、自分ではどうしようもない状況にある、という物語であって、

迷惑だと思うけど受け入れて優しくしてあげましょうね、という趣旨は全くないと感じました。

実際こういう人がいて本人も困っているのだから、いた方がいいか、いない方がいいかということではないですよね。

いない方が、いいかもしれないけど、実際いるのだから。。。

 

②推しを推す能力について

あかりの推しを推す能力も、「ある一定のものに対する執着」であり、発達障害の特徴の一つになっています。

普段は勉強ができないのに、推しの出演作品は歴史背景まで隅々まで勉強し、

ラジオは全て文字起こしして記録する。

私にも一応推し、はいるのですがあかりのようにはなかなかできるものではありません。

そもそも私の推しは推しなのか?推しと言うにはもっと推しのことを知らないとダメなのかと逆に不安になるほどでした。

 

③なぜ推しはファンを殴ったのだろうか

あかりは推しが炎上して、その後の行動にぶんぶんと振り回されつつも、

一切推しに対する不満、怒りの感情を持つことはありません。

他のファンたちは「あんなに貢いだのに裏切られた!」と怒りをあらわにするのに対して

あかりは「なぜ推しはファンを殴ったのだろうか」と疑問を浮かべるだけ。

ふとここで気になったのは、同じ疑問。

結局作中で推しがファンを殴った真相については一切明かされません。

どうして?

これまであかりは推しの行動全てに注目し、記録と記憶に残してきたのにも関わらず

なぜファンを殴ったのか、積極的に真相を知りたいとは思わなかったのでしょうか。

インスタライブやツイッターなど、本人に届いて答えは来ないかもしれないにせよ、

質問したり自分の気持ちをぶつけたりするチャンスはありました。

積極的に情報を得ようとはしない、ただ供給されたものをそのまま取り込んできただけだったのでしょうか。

 

 

④あかりはこの後どうなるのか。

③の続きのようになりますが、この先推しからの「供給」は完全にストップしてしまいました。

今までの供給だけで生きていくのか?

今までのできなさに加えて、背骨まで失ってしまうのか?

 

ラストのシーンでは自分でばら撒いた綿棒を膝をついて「お骨を拾い集めるように」丁寧に拾っている。

さらに這いつくばった姿勢を自分の生きる姿勢、これからしばらくこの姿勢で生きようと言っている。

少し前のページで祖母の「火葬」にも触れていることから、

推しは燃え、骨になり散らばり、

そしてあかりは背骨を失って二足歩行ができなくなったということ。。。?

と、私はそんなふうに感じました。

あかりについては何の解決もなく物語は終わってしまうため、かなり人それぞれ解釈の分かれるところかなと思います。

みなさんはラストシーンから何を感じましたか。。。?

 

ということで感想は以上になります。

それでは、このあとは本屋大賞ノミネート作品を読もうと思います!

ここまで読んでいただきありがとうございましたー!

ぜひコメントを残して行ってくださいねー!

騙し絵の牙

こんにちは!まりあです!

なんと2ヶ月サボってしまいました。読書垢作って満足してしまったパターン!

本は読んでいたんですけど、、、🥺

 

今回は久々に書いてみよっかな、という気になったので早速書いていきます。

 

今回読んだのはこちら!

騙し絵の牙 塩田武士 著

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赤い表紙に大泉洋さんが目を引き、前々から気になっていました。

10月のKADOKAWAのキャンペーンがあったので、それを契機にえいやっと購入したものですが、

正直言って大当たり!めちゃくちゃおもしろかったです🥰

 

●内容紹介●

小説の主人公に大泉洋さんを「あてがき」して描かれた作品。主人公は小説が大好きなカルチャー誌の編集者。

舞台は紙の本が売れず次々と雑誌が廃刊になる、そんな暗雲立ち込める出版業界。

まさに大泉さんを思い浮かべてしまうようなユーモアとウィットに富んだ話術で世渡りをしてきた主人公だったが、

ついに主人公の雑誌にも廃刊の危機が迫る。あの手この手で雑誌と小説家を守ろうとするがその道のりは険しい。。。

編集者として有能な男を描きつつ、その力を持ってしても抗えない出版業界の厳しさをひしひし感じさせるストーリーに、

一小説好きとして考えさせられる物語。

 

●感想●

①著者と書影について

さて、まずは塩田武士さんについてですが、このかたの作品は今回初めて読みました。

現在映画が公開されている「罪の声」を本屋さんで見かけた時から気になってはいたのですが、

書影が暗いしなんとなく怖そう〜と思って手を出さずにいました。

実際に起こった事件を元ネタにしているところもなんだかとっつきにくい。

それが今回は大泉さんが表紙にいるだけで、なんとなく面白そう〜と思ってしまいました。

書影って大事です。書影がなんとなく気にいらないために読むのを見送っている本は結構あるかも。。。

人は見た目で70%第一印象が決まるとかなんとか、そのようなことを聞いたことはありますが、

本もそうじゃないかと私は思います。書影は一次審査。

手に取らないとクルッと裏返してあらすじを読むこともない。

逆に気に入ったらあらすじを読まなくったって書影を決めてにしてポイっと買ってしまうこともあります。

特に読んだことのない作者さんはなんとなく怖いから、一次審査を通過できなければ、そのまま合格することもなく

二次審査にも進まない、といった感じですね。

今回塩田さんの作品に対するハードルは下がったので、いずれは罪の声も読んでみたい。。。気もする。

 

あ!あと余談ですが、他の文庫に比べて厚めの紙が使われています。なんでだろう?

ちょっといつもの角川文庫のページのめくり心地と違って新鮮でした。よい触り心地〜!

店頭で見かけたら皆さんもちょっとめくるだけめくってみてください😎

そして買ってください😎

 

②主人公と大泉さんについて

大泉さんって面白いですよね。飄々とした雰囲気と、小粋なトーク

一人暮らしを初めてから4年くらい、テレビを見てないので最近活躍している様子は見てないんですけど笑

でも書影と映画化の広告を見る限りはきっと同様に活躍されているんだろうな〜と思いました。

この作品は前述の通り大泉さんを当てがきして描かれており、セリフや仕草の描写ひとつとっても

大泉さんの飄々とした雰囲気が存分に感じられて実際に大泉さんが演じたらこんな感じだろうなとついつい脳内再生してしまいます。

 

私は小説がドラマ化・映画化したときに、そのキャストのイメージで原作を読むのはあまり好きではありません。

なぜなら、キャストというのは監督の好みだったり、その時の人気だったりといろんな要素で選ばれるため、

作者の意向は必ずしも反映されない、どころか一切含まれないことの方が多いからです。

メディア化は、作者以外の第三者が介入している時点でイコール原作になることは絶対にない。

その点、今回は作者が大泉さんを思い浮かべながら、大泉さんが演じることを前提に描かれている作品なので、

こちらも安心して、というか納得して、大泉さんのイメージで読むことができる。

これがなんだか新鮮で、もともとの大泉さんのもつ雰囲気も手伝ってめちゃくちゃ面白い、魅力的な主人公を作り上げています。

来年映画が公開されるようなので、私が読んで想像していた大泉さんが見られるのか、はたまた大泉さんの味付けで全然見え方が変わってくるのか?という「答え合わせ」ができるのも楽しみです。

 

③出版業界の現状とこれからについて

作品の前半ではいかに主人公が敏腕編集長として活躍しているのか、いかに世渡りして功績を築き上げてきたかが

描かれ明るく華やかな雰囲気で、こちらも明るい気持ちで読むことができます。

チート主人公が無双するお話って読んでて安心!そんな感じです。

しかし、出版業界にフォーカスを当ててみると。

紙の本が売れない。単行本が売れず文庫化もされない。文芸誌も売れないので廃刊になり、小説の連載枠も減る一方。

自身の雑誌の廃刊の危機に主人公が焦っている以上に、出版業界の先行きが不安で焦る私。

やばい。雑誌は毎月増えてかさばるのが嫌でdマガジン派だけど、買ったほうがいいかな!?

文芸誌も買ったことないな!買ってみようかな!?

単行本も高いけど!買わないと!!!?

感化されやすい私は今後もさらに出版業界にお金を落とそうと思いましたが、

でも私の力だけでは高が知れているよな〜とも思います。

 

意外と変わらないと思っていた日常って、簡単に変わるんだ、と最近思うことが多いです。

消費税だっていつの間にか10%になってるし、コンビニでレジ袋は無料でもらえないし。

そう考えると、本屋さんがなくなったり、紙の本が今みたいに手に入らなかったり、そういう未来が

来てしまう可能性もあるわけで。

普通に享受している今を、どうやったら守れるんだろうか?

 

むむむ。よくわからないので、やっぱり私が個人的にお金を落とすことから始めるしかないか。

文芸誌に手を出すのを検討してみようかな。。。あとdマガジンをやめてダヴィンチの購入。。。

もしこのブログを読んで下さったかたの中に文芸誌毎月購入してるよーって方は

おすすめを教えてください🥰

よろしくお願いします。

 

④感想まとめ

なんとなく買った小説でしたが、面白かったし、出版業界の現状を知ることができてよかったと思います。

社会派小説というのは今まで馴染みがありませんでしたが勉強になりますね。

ただ、「今」の問題点を主軸に進む物語なだけあってタイミングを逃すと時代遅れになる可能性もあって、

難しいジャンルの小説だなと感じました。

出版業界に限らず、5年、10年後はどうなっているかわかりませんから。

 

今年読んだ中でも面白さは上位だと感じたので、おすすめ度は★4つです。

特に小説・本が好きな人、大泉洋さんが好きな人、映画を見ようかな〜と思っている人におすすめです!

 

それでは今回はこれにて!

今後も読んだら更新する、つもりで頑張っていきますのでどうぞよろしくお願いします☺️

 

 

 

海の見える理髪店

こんばんは☺️

今回は珍しく短編集のこちら!

荻原浩 著、海の見える理髪店 です。

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荻原氏の作品は、「神様からひと言」を読んで以来。最近本屋さんにたくさん並んでるのを見かけるので、読み返したいなと思っているところです。

 

さて、この海の見える理髪店は、家族をテーマにした6作品が収録されています。表題作は「よまにゃチャンネル」で斉藤壮馬さんが朗読してくれるのです。

いい声です。最高壮馬です。あまりのいい声に寝落ちしました(だめじゃん)

 

全体的に、終わり方が綺麗だな、という作品が多かったです。どちらかというとポジティブな感じで終わっているものが多い、気がする。

ただ、一つ読み終わって、ふう、イイハナシダッタナ。と一息ついてから

ん???てなる。

ここからはネタバレしないと書けないので、これから読む方は戻ったほうがいいかもしれません。

 

 

 

 

まず、表題作の海の見える理髪店。

大物俳優が贔屓にしていた腕の持ち主が、都会を離れひっそりと海の見える場所で理髪店を営んでいる、ということで訪れた「僕」。

もともとそういったたちなのか、「僕」が自分にとって何者なのか気づいていたのかはわからないが、その店主は身の上話を聞かせながら僕の髪を切ったり、髭を剃ったり、マッサージしたりしていた。のちに自分が酒に酔った勢いで人を殺したこと、それをきっかけに奥さんや息子と別れたことなどを語る。

そして僕の頭の傷をみて、その傷はね、ブランコから落ちた時のものですよ、と言う。そして僕はというと、来週、結婚式があるんですと伝える。

僕も、店主も知っていたのだ。自分たちが親子であると言うこと。

つまり、このお話は、父親の居場所を突き止め、結婚前に客として父親に会いに来た息子のお話なのだ。

結局、2人は店主と客としてお別れする、という流れになっていて、綺麗に終わる。イイハナシダッタナとなる。

だけどちょっと考えてしまうのだ。

ん?どんなにイイハナシのように終わっても、酒に酔って人を殴り殺したことは事実だし、そのせいで2人目の妻や、息子と離れ離れになった。

酒に酔って1人目の妻に暴力を奮って離婚しているのも事実だ。

今回客として訪れた息子の心境は?結婚することくらい伝えてもいいか、という感じか?

人はそうそう、変わらない。もし、人を殺して刑務所に入るタイミングで妻と別れていなくても、おそらく酒に酔ってなにかしらしでかし、息子には嫌われていたはずだ。

これまで離れていたからこそ、再開するこの物語が美しく見えるのであり、文章が綺麗だからイイハナシに感じるのであって、手放しで「わー!よかったねぇぇ泣」とはならなかった。これは私が捻くれているせいなのだろうか??

 

もう一つ、2作品目の「いつか来た道」というタイトルのお話。

杏子という名の女性が、弟に言われてしぶしぶ疎遠だった母親に会いに行く。

母親は絵描きであり、娘の杏子にも絵を描くことを強要し、友達とも遊ばせてくれなかった。自分の好きな洋服を選んできると決まって「その服は何?下品だから脱ぎなさい」と難癖をつけてきた。あんなに執着されていたのに、美大の受験に失敗すると手のひらを返して何も教えてくれなくなった。杏子はそんな母親に愛想をつかして出ていき、すでに40代になっていた。

母親の面倒は主に弟が見てくれていたが、突然会いに行ってみてくれと言われた。弟が海外に転勤になることをきっかけに、杏子はその後釜を押し付けられそうになっているのだ。

久々に会う母親は変わらず自分を中心に世界が回っているような振る舞いで、杏子はイライラとしていたが、絵具が乾いたパレットやカビたお茶の葉を見て異変に気づく。

母親は認知症が始まっていた。杏子の名前も思い出せず、思い出したかと思っても、杏子に向かって「今日は娘が会いに来るの」という始末。

あんなに厳しくて、嫌いだった母親が、今ではすっかり呆けている。抽象的な絵を描いて、これは夫、これは杏子、これはうちの猫、可愛いのよ、と説明する。逸子さん(母親)はどこにいるの、と絵の中の母親を探して尋ねると、「私はここにいるじゃない」と少女のような無邪気な声で答えるのだ。

杏子はそんな母親を見て、つきものが落ちたかのように、なんとなく母親を、そしてその母親に虐げられてきた自分を許すような雰囲気を醸し出す。。。

 

よかったね、イイハナシダッタナ。

終わり方はやっぱりとても綺麗。

でもやっぱり捻くれている私は思うのです。

自分は好きなだけ人の嫌がることをして、認知症になって全部忘れるんだ。

人間は、自由に生きたもん勝ちなんだ。

物語の終わりは、「母親とのわだかまりが和らいだ」という形を取っているけど、私は全然許せなかった。

絵を描くことを強要されて、怒られて、受験に失敗すると才能がなかったのねと見捨てられて。そうじゃなかったら違う道を選択できた杏子の人生を台無しにしたんじゃないのか??

 

 

ということで、すごく文章が落ち着いていて、綺麗なお話だったんだけど、

私にはなんだか綺麗すぎたなと思う作品たちでした。

おすすめ度は★3

物語の内容自体が面白くなかったわけじゃないんです。いろんな考え方があるし、考えさせられました。

他の人の意見も、聞いてみたいなと思いました。

 

 

それでは!!また〜★

 

愛なき世界

皆さんこんばんは!久しぶりの更新です。

本は何冊か読んでいたんですが、ちょっと横着してしまいました、、、

2冊ほど記事を書かずに次の本に行ってしまいました。そんなこんなで9月です!

 

9月の一冊目は「愛なき世界」三浦しをん 著

珍しく、恋愛小説です。

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簡単にご紹介しますと、見習いコックさんと植物研究者の大学院生のお話。

コックさんの名前は藤丸。T大学の近くの定食屋さんに住み込みで働いており、T大院生である本村さんと出会います。

植物学、研究といったものには縁のなかった藤丸は熱心に研究に励む本村に惹かれるが、

本村は研究対象である植物に夢中!藤丸は本村を振り向かせて恋を叶えることができるのか。。。。!?

 

という恋愛小説らしいあらすじにしてみましたが、恋愛要素は結構少なめ、3〜4割では?

第1章は藤丸目線のお話で藤丸が本村に惹かれていくまでを描いていますが、その後はほぼ本村目線。

本村の生活の中心は植物であり、一人暮らしの家から所属する教室が主な行動範囲。

自然と教室の教授や院生との会話や一人で研究をする場面がおおめになるし、藤丸がどのように登場できるかというと

デリバリーでランチを運んできた時や本村たちご一行が夕ご飯を定食屋さん(夜は居酒屋?)でとる時くらい。

まじで研究してる場面が一番幅をきかせていると思うし、私が一番共感した場面は本村が研究中にミスに気づいたところでした。

 

初歩的で、どうしようもないミスに気づいた時。え!嘘嘘嘘!?っていう気持ちとか。

あ、、、これ上司に報告しないといけないよな。報告してもミスは消えないけどとりあえず言わないといけないんだよな、

という気持ち。すごくよくわかりました。あー考えただけでお腹痛い、吐きそう〜!

 

あ、脱線しましたが、そんな感じで恋愛要素は少ない。あ、こんな時藤丸さんはこんなふうにいうだろうな、、、

みたいなちょっとした登場をすることもあるけど大体は植物のことしか考えていない女性のお話でした。

 

 

見た目がすごく綺麗だったので、これは!!と思っただけで、

恋愛小説がめちゃくちゃ読みたくて手にとったわけではないのでよかったのですが、

大恋愛を期待して読むとがっかりするかもしれません。

私にはものすごくちょうどよかったです。

 

恋愛小説って、くっついた!離れた!とか障害イベント発生してそれを乗り越えた!!!

みたいな大波がくる感じで、ずーっと恋愛について書いているようなものが多いイメージ。

恋愛小説とか、少女漫画って恋愛要素のある場面を切り取って描いているので

この人たちいつ勉強してるんだろ、とか、ちゃんと仕事はしてる、、、?みたいな感じですよね。

ヒーロー、ヒロインのいないところで試験勉強したりプロジェクト成功させたりしても話がもたないと思うので

仕方ないんですが、

その印象を覆したのがこの作品でした。

恋愛小説でありながら、全然そうじゃない。

ただ、藤丸はしっかりと本村の研究対象である植物を恋のライバルとして認識しているから、これは歴とした恋愛小説といえるのです。

なんだか不思議。

恋愛ってうまく行っても行かなくても、疲れちゃうなぁと思うタイプの私にとってはすごくよかった。

 

「マチネの終わりに」も私は疲れちゃいました。

ワクワクしたり、連絡が来なくて焦ったり、そういうのって疲れちゃう。

共感はするけどその分疲れたし、よくその年齢でこんな疲れる心の動きできるな、とも思っちゃいました。

書いていて気づきましたが、多分年齢は関係ないんでしょうな、、、。

いつまでも恋愛に力を使える人と、私みたいなタイプと、いるんだろうな。

私も高校生の頃とか、今の彼氏と付き合うまでとかはそれなりに恋愛に力を使ったし、

楽しい気持ちの時もあったな、、、あの頃は私も若かったのかな?

と思ったけど長くなるとめんどくさくなって自分で終止符を打ったのを思い出したのでやはり年齢関係ないな。笑

 

本を読んで、以前読んだ本についても改めて考え直す、ということもあるんですね。。。

どうやら私には普通の恋愛小説は向かないような気がするので今後は手に取るとき気をつけよう。

 

さて、なんだかとんでもなくどうでもいい方向に脱線してきたのでそろそろシメに入りましょう。

オススメ度は!★★★!

研究内容も詳しく書いてあって、日頃研究とかに馴染みのない人には難しく感じるかも!

普段本を読むことが少ない人にもオススメしません。

でも個人的にはよかった!なので★3つです。

 

なんか、最近これ面白いよ!!って人にめちゃくちゃオススメできる本に出会えていないです。

表紙買いも悪くないんだけど、、、

今積んでる本(あと3冊くらい!)を読み終わったら、

ついったでよく流れてくる本とか読書のLINEグループでオススメされていた本を

ゲットしたいと思っています!

 

それではまた明日から頑張りましょ〜😎

ザリガニの鳴くところ

こんばんは〜!3連休が終わりそうだけど全然悲しくないまりあです!

なんと言っても、また3日仕事に行けば3連休がくるんですよ〜!

嬉しい☺️毎週こんな感じでお願いしま〜す♡

 

はい、この3連休で読んだのは「ザリガニの鳴くところ」

ディーリア・オーエンズ著、友廣純訳です。

 

ザリガニの鳴くところ、、、、ザリガニが鳴くの!?と引き付けられるタイトルですね。

原文のタイトルはWhere the Crawdads Singだそうです。

Singって鳴くっていう意味もあるんですね。今回に関しては歌うと訳してしまっても大間違いではなさそうな感じ、、、?

 

●あらすじ●

主人公は「湿地の少女」と呼ばれる女の子、カイア。幼い頃は両親と兄弟の7人暮らしだったが、

仕事もせず家族に暴力をふるう父親に耐えられなくなった母親を始めとして兄弟も一人、また一人と

カイアを残して家を去っていった。幼く行く当てもないカイアは父と二人過ごすことになったのだが、

ついには父もいなくなって本当の独りぼっちになってしまった。

ずっとずっと一人で生きてきた彼女のそばにいつもいてくれたのは、湿地の生物たちだけ。

人間は裏切る。自然は裏切らない。

泥だらけになってなけなしの金を得て、やっとのことで生き残り、ようやく何かを掴みかけた彼女にかけられたのは、

村の青年の殺人容疑。。。。??

 

 

ということで、一人の少女に焦点を当て、彼女の人生を描いた物語、

+ミステリ要素もある小説です。

 

読み終わった感想としては、全体的に彼女の行動から目を離せず、いつの間にか応援してしまい、

次はどうなだろう、と気になる感じで面白かった。

手に汗握る!ほどのハラハラ感、スピード感はないけど。

普通だったらもっとうまくやれるのに、と思いそうなところも、

幼い頃に文字の読み書きもお金の計算もできないうちに一人ぼっちになってしまったんだから仕方ないよな、

と甘めの視点で彼女の成長を陰ながら見守って応援してしまう、よくわからない立場で読んでいました。

殺人容疑がかけられてからは特に、先が気になってどんどん読んでしまいました。

 

ただ、この本、こういう帯が付いていて↓

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結構泣かされるお話なのかな、とか、バッドエンドなのかな、と腹を括って読みましたが、

そんなことはなかったです。

私は結構涙脆い方で、特にお別れ、とか大切な人が死んじゃう、とか

登場人物がものすごく理不尽な目にあって悔しい、とかで安易に泣くんですけど、

泣かせようとしてくる山場?みたいなものは特別にはありませんでした。

カイアが理不尽な目にあっているのは作中ずーっとだったし、なんならカイアが必死に、一生懸命にもがいて、

生きるために逃げている時に私が泣いている暇はありませんでした。

右から2番目の祈るように読んでいた、のはちょっとわかりましたが、

右端と、左端はあまりピンとくるコメントではないですね。

特に左端の終わりが、もう、あの、ページを破って燃やしたいっていうのはどういう意味なんだろう。。。

人の感じ方はそれぞれ、ということで、この帯はあんまり見ないで読んだ方が良かったかなと思いました。

 

 

さて、もう少しこの小説に付いて突っ込んでいきましょう。

著者のディーリア・オーエンズは動物学者であり、もともとはノンフィクションの著書や研究論文を発表されている方。

現在はグリズリーや狼の保護、湿地の保全活動を行っている、とのこと。

この小説はフィクション、つまりはじめての小説だそうです。

湿地の保全活動、というあたりがこの小説、そしてカイアの生き方に大いに反映されています。

ただ、カイアはただ単純に育った環境が湿地であり、

生活にかけがえのない存在、というところからきている湿地への愛、という描かれ方のように感じました。

イメージとしてはもののけ姫のサン、といった感じでしょうか。

著者の自然への想いをうまく彼女の湿地への想いにすり替えていたと思います。

 

 

また、自然と人間の対比、という大きなスケールで考えさせられる部分もありました。

例えば、父親が家族に暴力を振るうことや、貧富の差で蔑む村の人々たちの理不尽な態度、と言った人間的な残酷さと、

交尾の時にオスをムシャムシャと食べるカマキリや、オスを騙して呼び寄せてこれまたムシャムシャと食べる蛍などの自然界の残酷さ。

前者は少なくともカイアにとって絶対的に悪であるのに対して、

後者は「生命維持に必要だからこそ行われることなのだ」、と善悪の存在しない自然の摂理として納得させられるものである。

どちらの残酷さも身近に感じていたカイアの思考にどちらがどれだけ影響を与えていたのかがすごく気になりました。

例えばカイアが生きるために貝を掘り起こしたり魚を釣ったりすることは後者であるのは間違いないと思うけれど。

彼女のあの時の思考は、あの行動は? 善悪の関わる人間の仕業だったのか、善悪の存在しない生命活動だったのか。。。

 

 

えっと、ここまで書いてきてきましたが、この小説を読んでいない方には

なんのこっちゃ、だと思うんですよね。

でも読んでもらえればなんとなく、分かってもらえると思うんです。。。!

読んだ方とディスカッションしたい!

誰か読んだ方がいらっしゃったら教えてください🙇‍♀️

 

最後に恒例?のおすすめ度は、★4かな?

なんだか久々に自分以外の人生を体験したな、という感じ。

カイアが理不尽な環境でも力強く、ただし逃げるところはうまく逃げて生き延びる物語は

今の自分では到底体験できないので、こういうのを読書体験っていうのかな?と思ったし、興味深かったです。

ただ、ミステリというジャンルにおいてはフーダニットは大いに納得させられたけど、

そのほかの解説はほとんどなかったので、ミステリを求めて読むとちょっと物足りなくなります。

 

 

はぁ。今回もネタバレなしで書くのが難しかったなぁ。。。

というか、伊坂作品はヒョイっと引用してもあんまりネタばれにならないように書くことができていたので

いかに、伊坂作品が数行の言い回しで考えさせたり、心を掴んだりしてきたかがよくわかりました。

今回は海外文学だったので著者の表現をそのまま受け取ることができなくて、

そういう観点からヒョイっと抜き出すのが難しかったのかなぁ。

ということで?今回もよくわかんない記事でしたが最後までお付き合いいただきありがとうございました!!

明日から3日間、お仕事頑張るぞー!☺️

 

 

 

 

 

 

氷菓

こんばんわ!まりあです!3連休だよ!やったね!!

今回は「氷菓米澤穂信 著です。また初めましての作者さんです。

ずっと読んでみたいな、と思っていたのでカドフェスに入っているのを見つけてかって来ました!

夏のフェアって、新しい作者さんに手を出すよき機会ですよね〜!!

 

●あらすじ●

非・積極的少年、折木奉太郎は姉からの手紙をきっかけに仕方なく「古典部」に入部することになった。

そこで好奇心旺盛少女、千反田えると出会い、巻き込まれて日常に潜む謎解きをする羽目に。

さらにその推理力を見込んだえるは、奉太郎に消息不明の彼女の叔父にまつわる謎解きも依頼されて、、、

 

と、こんな感じ。

古典部という謎の部活に入ったことをきっかけに始まるお話。

初めは各話ごとに小さな謎を奉太郎が解き明かす構成で、後半はその推理力を見込んで、

えるが心に秘めた謎の解明を依頼する形です。

 

分類はミステリに当てはまるのでしょうか?でも誰も死なない。

概ね平和なスクールライフです。

「私、気になります!」とえるちゃんが気になるからこそ必要な謎解き、という感じです。

正直、「小さいことは気にしない!生きてるだけで100点満点〜★」の私としては

あまり興味が湧く謎ではありませんでしたが、、、

 

ハッ!としたのです。そんなんじゃ私はいつまでも成長できないのでは??

小さい子は「なんで空は青いの?」って聞きがちだし(?)

研究者は「なんで?」「どうして?」を解き明かすために研究して、新たな発明につなげる。

人間の成長に「なんで?」「どうして?」は重要なのでは??

 

私も漫然と生きていないで、なんで、どうして、といろんなことに興味を持たないとダメだ!

と思いました。

大事なことに気づけてよかったよかった。

 

ということで、

・日常ほのぼの系が好きな人

・なんでも不思議なことがあったら知りたい好奇心旺盛な人

にはおすすめでございました。

私はやっぱりミステリはガツンとしたやつが好きなので★2.5かな〜という感じですが、

大事なことに気づいたので感謝です🤗

 

そいでは、おやすみなさい〜

 

探偵AIのリアル・ディープラーニング

こんばんは!伊坂祭りが終了して、1作品目になります。

早坂 吝 著、探偵AIのリアル・ディープラーニング

著者の名前は ハヤサカ ヤブサカ と読むそうです。吝かってこういう漢字なんですね✏️🗒

 

●あらすじ●

人工知能の研究者である父が焼身死体で見つかった。

事故か?自殺か?殺人か?

「刑事」のAIである相以(あい)の入ったSDカードを見つけた息子の輔(たすく)は

彼女と共に事件の真相に迫る。。。。

というお話。

 

連作短編の構成をとっており、第1話は輔と相以との出会いと父の死にまつわるお話です。

 

彼の父は「刑事」のAIのついになるよう、「犯人」のAIを作り以相(いあ)と名付けていました。

対になるAIを用意し、以相の起こした仮想事件を相以に解決させることで学習させあっていたとのこと。

その以相が父の死後は見当たらず、父の死にまつわるトリックもどうやら以相が考えたもの。

と、いうことは?

この小説は犯人のAI  VS  刑事のAI 、対になるAI同士のバトルなのです。

 

天才VS天才、みたいなのは今まであったかもしれないけど、AI同士、というのが

なんだか斬新だな、と思いました。

また、AIの「課題」についても知ることができて、人工知能について興味が湧きました。

「感情を理解する」という課題以外にも、普段私たち人間が自然とできているけれど、「認識」を

人工知能にさせようとすると、意外と難しいみたい。

定義を覚えさせることはできるけど、それをそれとして認識するのはまた別のこと。。。らしい。

例えば我々は猫見れば、猫だ!って認識できるけれど、「猫であることを証明して?何をもって猫と判断したの?」

と聞かれると、言葉に詰まりますよね。

モフモフしてて、目が大きくて、にゃーって鳴いて。。。って考えた上で判断したわけじゃない。

それをAIに「やってもらう」。自分でもどうやってやってるのかわからないことを人工知能にさせる。難しそう〜

私が研究者だったら、いやー!ドラえもんってすごいなー!っていう結論にたどり着きそうです笑

 

さて、この本を手にとったきっかけですが、新潮文庫の100冊に入っていて、平積みされているのを

初めて見て。可愛いなって思ったんです。

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主人公が相以と出会ったとき、彼女がいうことには、彼のPCに保存されている画像を参考にして

アバターを作ったらしい。

なのでこの女の子は主人公の趣味を反映されているのですね。

可愛いです。私としてはツインテールにしてもらいたかったですけど、まぁいいでしょう(上から目線)

 

となると、以相はどんな様相をしているのでしょう?

物語では「スカートを摘んでお辞儀」する様子などが描写されているので、スカートを履いたアバターなのでしょうけど、

容姿とかはどうなってるんだろう。お父さんの好みなのかな?笑

 

あと、タイトルの「ディープラーニング」についても少し。

ディープラーニングというのは

十分なデータ量があれば、人間の力なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれるディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習

ということらしいです。

物語の中では相以がある課題につまづいた際に1000冊の推理小説をスキャンし傾向を掴むことで、

謎解きに活かす場面が出てきます。

十分なデータ、つまり推理小説1000冊を資料にAIが勉強するのです。

 

将棋や囲碁などのAIもきっと今までの対局をディープラーニングすることで最適な一手を出せるようになったんでしょうね。

人工知能ってすごいですね。。。。!というか、羨ましいですね。

読みたい本はいっぱいあるのに、我々の時間は有限。

なのにAIは1000冊の内容を1日で把握できるのですよ。やば。うらやま。

学習中にAIが「面白いな〜」と感じられるかは不明ですが。。。羨ましいよ〜ジタバタ

まぁないものねだりをしても仕方がないので、私は人間のスピードで読書も勉強も頑張ります( ˘⊖˘) 。。。

 

さて、ミステリとしても、AIに関する小説としても面白かったし、

AIの小説なのに、人間の温かみもしっかりと感じられる小説でした。

探偵AIシリーズとして2もあるみたいなので、積読が減ってきたら買いたいと思います!

 

あ、そうそう。まりあの伊坂祭りなのですが終わった後のルールがありまして。

伊坂作品を10作品読み終わったら、つまり祭りが終わったら、それまで積んでいた本を読み終わるまで新しい本を買わない!

というルールです。

なので、今後ももう少し新しい本は買いません。

(新しく買わない間に読みたい本はAmazonの欲しいものリストにぽちぽちと入れています☺️)

 

なので、今は何をどのくらい積んでいるのか、もご紹介いたします。

というか、これらを読み終わるまで、新しい本は買いません!という決意表明です笑

 

お写真アップ!↓こんな感じです

 

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文庫本は角フェス、新潮文庫の100冊やナツイチがメインです。

あとは単行本ですが、熱源が一番難しそうだなって思って躊躇しています。

あほな私にも読めるかな??🤗

 

難しかったらブログは書けないかもしれないけど、読了ツイートは全部しますので見守ってやってください!

そいではまた!