本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

線は、僕を描く

こんばんは!まりあです!

5月ももう終わってしまいそうですね!

あたたかくなって、非常に過ごしやすくなり、本を読みながらうとうとしています。

 

さて、今回もまたまた本屋大賞ノミネート作品です。

砥上裕將 著 「線は、僕を描く」

 

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書影がたいへん柔らかくて爽やかです。

最近ちょっと気になるのですが、上にタイトルが寄ってるのは、帯がかかることを想定してなのでしょうか?

 

さてさてあらすじです。

突然の交通事故で両親を亡くしふさぎ込んでしまった高校生の主人公。叔父のすすめでなんとか大学生になり、無気力に過ごしていたが、それでも友人として接してくれる同級生ができた。そんなある日彼から紹介されたアルバイトで、水墨画とその巨匠に出会い、いつのまにかその巨匠の内弟子になり、さらに一年後の展示会で巨匠の孫と賞を競い合うことに。。。?

 

というお話。

あらすじにすると超展開でラノベみたいになってしまいました。私はあらすじをまとめるのがすごく苦手みたいだって、ブログを始めて気づきました。

 

とりあえず、あれよあれよと言う間に無気力少年が、めったに内弟子をとらない巨匠の弟子になり、その孫である同年代の美少女にライバル視されるわけです。

(やっぱり展開はラノベみたいだよね?)

 

それまでは全く縁のなかった、水墨画に出会い、巨匠に教えられるがまま、その魅力にはまり、成長するとともに、両親を亡くしたことで止まっていた時間が色づき、進んでいく。

 

この物語の印象として「色」が重要な要素になっているのではないかな、と感じました。

水墨画は本来、紙の白さと墨の黒、白黒の世界です。しかし、主人公が初めに感銘を受けた作品に描かれた薔薇からは、はっきりと紅色がみえています。まずは、この白黒なのに、紅という色が見える!という対比。

そして、両親を亡くし色のなかった主人公の生活に、色のある世界を白黒で表す水墨画に出会い、打ち込むべきものが見つかったことで活気が戻り、生活が色づいていく。ここでも白黒と色との対比。。。なのかなと思いました。

 

水墨画というと、スポーツや楽器に比べて、その成長の過程はたいへん静かだし、絵面としてはとても地味かもしれませんが、それでも朝から晩まで描き続けられるほどに熱中する主人公の様子に羨ましさを感じました。

私もそんなふうに向上心をもって打ち込めるものが欲しい!

すぐに感化されるんですよね。

とりあえずなんでもいいのでスキルアップしたかった私は、深夜にユーキャンのボールペン字講座のテキストをポチりました笑。

小学生の頃に書道、というかお習字は習ってたので字はそんなに汚くはないのですが、やっぱりなんとなく癖字になってきたし、なんだか書きたい欲もあるし、ということで。明日届くみたいなので楽しみ〜☺️

あと、ポチッてからハッと気づいたのですが、ほんとに私がスキルアップしないといけないのは、お仕事のほうでは!?

と思ったので、今日からお仕事も頑張っています笑

私の仕事は知識も必要だし、技術も必要だし、成長すべきところはいっぱいありますからね!!

主人公が何かを極める、目標に向かって努力するお話はやる気を与えてくれていいですね。私も!頑張らなきゃ!!と思えます。

 

ところでもう一つ、この小説で大事なこと。この小説は巨匠やその孫、弟子などの水墨画の先生たちや、大学の友人などが大きく主人公に影響をあたえて進む物語ですが、忘れてはいけない登場人物は、ずばり叔父さんだと私は思います。

 

高校生で両親を亡くして引き取ってくれた叔父さんは、主人公のぽっかりあいた心の穴を埋めることはできなかったし、水墨画とも一切関係のない人物です。

しかし、無気力で自分が生きているかどうかわからずボーッと高校に通っている間に、進学をすすめてくれたのは叔父さんでした。彼の心の時間は間違いなく止まっていたけれど、それでも時間は進んでいる。そんな彼が置いていかれないよう配慮し、進学できたおかげで、水墨画に出会うことができました。

もしも進学せず、「そのまま」生きていたら、彼はどうしていただろうと思います。そのままニートになってたかもしれないし、興味のない仕事にしかたなくついていたかもしれない。少なくとも水墨画に出会い、学びを受ける環境にはたどり着けなかったと思います。

作中で、彼は友人たちにラッキーだと言われます。主人公は、両親を亡くしてしまった自分がラッキーなはずがないと思うわけですが、名前を書くだけでも進学できて、友人ができて、水墨画に出会うきっかけができて、巨匠の内弟子にしてもらうことができた。単純計算はできませんが、どちらかというとラッキー。

将来や身を案じてくれた叔父さんがいてくれて、ラッキーだったなと思いました。

自分のことも、考えてみましょう。今の私があるのはだれのおかげ?

さいころから勉強して、県内で一番の高校にいって、大学に入って、仕事にもついて将来は安泰。勉強したのは自分だけど、幼稚園のうちから読み書きを教えてくれたのは?「将来なんでもできるように勉強しておけ」と言ってくれたのは?塾に通わせてくれたのは?高校の送り迎えをしてくれたのは?

と、考えるとなんだかいろいろな人に感謝する気持ちになりますね。

 

作品のテーマとは違うかもしれませんが、今の自分について見直すきっかけも与えてくれる作品でした。

 

テーマである水墨画も、作品全体としても静かなお話。それなのに、勇気を与えてくれるし、前向きにもなれるし、自分を見直すきっかけにもなるし、すごい作品ですね!!

 

それではまた〜☺️