本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

マチネの終わりに

こんばんは~まりあです。更新が久々のような気がします。

ポケモン新作が発売されたせい!も少しはありますが、今回は読むのに時間のかかる本だったせいもあります。

 

今回は平野啓一郎 著「マチネの終わりに」。

まずは簡単にまとめてしまいます。

主人公は天才ギタリスト・蒔野聡史と国際ジャーナリスト・小峰洋子。

40代の二人が運命的に出会い、惹かれあい、そしてすれ違う、という恋愛小説です。

大人な恋愛小説を読んでみたい!という気持ちと、映画化されたことで興味を持ったために今回読んでみました。

この記事ではしっかりと考えを整理させたので、フツーにネタバレをしていきます。

 

まず、登場人物から。()内は私の感想・偏見です。

①蒔野:天才ギタリスト。特定の恋人や婚約者はいない。結婚歴もなく、幼少の頃からクラシックギター1本。(1人で生きていけるタイプの男。恋愛経験が少ないかどうかはわからないが、婚活するタイプではなく、結婚しなきゃいけない、という焦燥感はゼロ)

②洋子:国際ジャーナリスト。ユーゴスラビア人の父と日本人の母をもつ。蒔野と出会った当時はリチャードという名のフィアンセがいた。(結婚に対して若干の焦燥感があるようだが、リチャードを愛しているのかどうか伝わってこない。)

③三谷早苗:蒔野のマネージャー。のちに蒔野早苗になる。

 

さてさて、内容に移りますが、このお話は2人の主人公の関係性から、大きく4つのパートに分かれます。()内は私がこの物語中に占める各パートの割合を体感で表したものです。

出会い~恋人になるまで(3割)・恋人期間(1割)・別れのきっかけイベント(1割)・別れてからのそれぞれの人生(5割)

ページ数でしっかり表すとすると、若干盛ったかな?笑と思いますが、マジで体感こんな感じでした。恋人期間短くない!?

 

では次に各パートのまとめです。

①出会い~恋人になるまで。

蒔野と洋子の出会いは蒔野のコンサート。演奏後、蒔野は知人から洋子を紹介され、少し話したところで意気投合する。そのままコンサートの打ち上げに同行することになった。打ち上げも盛り上がり、また連絡を取り合う約束を交わす二人は、後になってから「そのまま一緒に朝まで過ごす選択」があったことに気づく(40歳の大人の恋愛の始まりにしてはピュアである、と思ったが、洋子はフィアンセのいる身であり、そういう分別がついているところが40歳の大人の恋愛とも言えるのかもしれない、とも思った)

その後洋子はジャーナリストとして仕事のためイラクに滞在し、自爆テロに巻き込まれ、あと少しで自分も死んでいたかもしれない、と思わされる経験をする。イラクに行ってからも蒔野と洋子はメールでの連絡を取り合っていたが、自爆テロを境に洋子から蒔野への連絡が途絶える。洋子の生死を案ずる蒔野の元になかなか返信がとどかない。長い間連絡がないことから、メールに返信できない状況という訳ではなく、自分からのメールが負担になっているのでは?と考えた蒔野のもとに洋子からの長文メールがとどく。(その間1か月であるが、なぜこの時点ですでに愛しているはずの人へ一言でも安否確認のメールを送ることができなかったのか、説明はない。洋子自身、まだ蒔野の存在はそれほど大きくなく、1度会って話したメール友達、という認識であったためにないがしろにしていたのか。もしくは、大切な存在である蒔野へのメールは特別であったため、適当な文面で送ることをためらったのか?謎である)。

イラクからフランスへ戻った洋子と、蒔野は再会を果たす。2人きりで会うのは初めてのこと、会うのも2度めである。食事をしながら他愛ない会話をした後、蒔野は洋子にフィアンセとの婚約を解消し、自分のそばにいてほしい、と思いを打ち明ける。「自分のそばにいてほしい、毎日こうして向かい合って、食事をしながら話合って。。。。」という蒔野に対し、洋子は「私と結婚して、子どもを育てる、という生活を現実的にかんがえられる?」と問う。洋子はその日のうちには答えを出せずにいたが、のちに決断してフィアンセに別れを告げることになる。(これまでの「なんとなく話が合うし、一緒にいると楽しい~♪」という二人の関係が、ここですでに崩れ始めたように感じた。婚約を破棄する決断が必要な洋子に対して何も失うもののない蒔野の考え方のずれは大きすぎる。なんだそのふわふわした夢物語は!?現実みろ!!!それに対し洋子の決断はすごい!とも思うけど、恋は盲目というやつなのだろうか、またはリチャードのことあんまり好きじゃなかったのか。)

②恋人期間

恋人になってからも会えない期間が続き、やっと会える!という日に限って思いがけないイベントが起きる。蒔野が仕事でマドリードを訪れるためそこで合う約束をしていた二人だったが、ジャリーラ、という洋子がイラクで親しくしていた女性がイラク国内で命を狙われ、亡命してきて空港で身柄を確保されている、という連絡が洋子に届く。待ちに待った蒔野とせっかく再会の日であったが、とりあえず「蒔野ならあとで説明すれば分かってくれるだろう」とジャリーラのもとへ駆けつけ、蒔野への連絡が遅くなる。やっと連絡がきて、洋子の部屋を訪ねる蒔野だったが、その部屋には空港から連れ帰ってきたジャリーラがおり、結局二人きりで過ごす時間はかなり短くなったのであった。(連絡怠りすぎでは?こんなに物理的に距離のある二人なのに、どうして密に連絡を取ろうとしないのか。)

③別れのきっかけイベント

今度は洋子が夏休みをとり、1週間の日本滞在である。待ちに待った再会の日にはやはり何かが起こってしまう。今度は蒔野に、恩師が脳出血で倒れたとの連絡が入る。やはり「ジャリーラの時もそうだったし、俺たちはあとで説明すればわかり会える」とふんだ蒔野は洋子には連絡なしにタクシーに飛び乗る。そしてなぜかそのタクシー運転手と相性が合わずすぐにタクシーを乗り換えることになるのだが、なんと1台目のタクシーにスマホを忘れてしまう。蒔野はさすがにあたふたして洋子に連絡を取る手段を確保するべく、スマホがなくても唯一連絡先を知っていたマネージャー、三谷早苗に連絡をとる。早苗は蒔野のスマホを見つけ出したが、密かに蒔野に思いを寄せていた早苗は、この自分の行動が蒔野と洋子の再会に結びついてしまうことに気づきある行動にでる。「やはり君に会うことはできない。これから一緒にいることはできない」という内容のメールを蒔野のスマホで打ち、思いあまって送信し、そしてうっかり(本当にうっかり)水たまりに落としてスマホを壊してしまったのだ。そのメールを最後に洋子と蒔野はすれ違い、誤解したまま。しばらくして洋子は蒔野を諦め、元フィアンセとよりを戻し結婚し、その報告を最後に蒔野への連絡をたった。(ミスにミスを重ねてどんどんと不穏な雰囲気になるシーンでした。何度か文庫本を放り投げそうになりましたが、単なる蒔野のミスでお別れじゃなくて本当によかったと思う。

④お別れしたあと

蒔野は恩師の脳出血後の介護をしたり、手足口病になって商売道具である手をだめにしてギターをお休みしたり、早苗と結婚したりと様々なイベントが起こる。洋子の方も息子を授かって出産したり、浮気されて離婚したり、離婚してからも息子と過ごしたりと忙しい日々。

お互いのことを時々思い出してはみるものの、思いをはせるのみ。

そして物語の終盤。蒔野の手が完治して仕事復帰しコンサートをすることになる。そのコンサートの開催を知った洋子は演奏を聴くだけでも、とコンサートチケットを買い求めたところで早苗と会う。早苗は洋子にコンサートに来ないでくれ、と懇願する。「あなたは悪くない、しかしあなたがそばにいると蒔野の音楽はだめになる。コンサート会場にいるだけできっと蒔野はあなたを見つけてしまい、音楽に集中できなくなる」。この文句があのすれ違いの日のメールを彷彿させることで洋子はあのメールが早苗から送られてきたものであると気づき、蒔野に別れを告げられたわけではなかったと知ったものの、洋子はそのままコンサートチケットを早苗に託して帰宅するのであった。

程なくして早苗は妊娠した。安定期になったある日、罪の意識に耐えかねた早苗はついに蒔野にもあの日の自分のメールのために二人にすれ違いが起こったことを白状する。「どうしてそのまま黙っていられなかったんだ。。。」と蒔野はすでに深く愛してしまっている妻へのやりきれない思いを抱えることになった。

その後、改めて洋子は蒔野への気持ちへ区切りをつけようと蒔野のコンサートを訪れ、その後二人は再会する。。。

というところで終わりです。

ほう、まとめるのも大変ですな。

それでは最後に読後の感想を。

 

●感情移入がしづらかった!

40代という年齢の違い、そしてアーティストとジャーナリストというあまりなじみのない職業の二人の考え方などなど、自分との共通点の少なさのためか、あまりスッと内容が入ってこないし、共感できる点がなかったように感じました。というか、設定を盛り込みスギのような気もする。イラクの社会問題や、生と死についてかんがえさせられる場面、洋子の国際的な関係や、芸術的な側面などなどまとめでは大分いろんな要素を端折りました。それだけで一つお話が書けそうじゃない?みたいな主人公たちでさえ恋愛についてかんがえている余地のなさそうな話題が多かったですね。

●学んだこと:ホウレンソウは大事!

なんといってもこの二人、互いが好きすぎて心のひろーいひろーい人だと思っているのか「あとで話せば多少の筆無精も許してもらえるはず♪」という場面が多すぎる。こんなに会うのを楽しみにしているのに、どうして相手の気持ちが分からないのでしょうか?ものすごく会うのを楽しみにしているのは相手だって一緒だし、連絡がつかずに不安になるのは普通のことですよね。ていうかまず恋人に対する態度とか以前にいい大人なんだから約束の時間に1秒でも遅れることが決まった時点で大まかな連絡はすべきですよね?「イラクの知人が亡命してきて助けないといけない」「恩師が死にそう」。これだけの簡潔なメールでこと足りるのに。それを怠ったせいで最愛の人を失う羽目になってしまった、というお話と言っても過言ではないと思います。大切な人ほど「分かってくれるはず♪」と思わず報告・連絡・相談しないといけないなと思いました。

 

あれ?これラブストーリーを読んだ感想のはずだったのに。。。笑

ていうか二人が恋人の期間はもちろん、直接二人が合う場面が少なすぎてあまり恋愛小説を読んだ気にならなかったですね、、、、

やっぱり「植物図鑑」みたいな爽やか~な恋の物語がいいなぁと思ったのでした★

 

それではまた~