本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

流浪の月

こんばんは!

今年の本屋大賞、流浪の月を読みました!

今まで本屋大賞について注目したことはなかったのですが、

今年はたくさんの読書垢をフォローしてたためか、本屋大賞の話題について目につく機会が多かったのですごく気になっていました!

発表前に、ノミネート作である

店長がバカすぎて

medium

むかしむかし、あるところに死体がありました

ムゲンのi

は読んでいたので、この中だったらmediumかムゲンのiかなぁ〜

とは思ってたのですが、読んだ中には入っていませんでしたね笑

来年もノミネート作から注目してみたいなと思いました。

 

さてさて、本題です。流浪の月は凪良ゆう著、ということでしたがこの方の作品も初めて読みました。

◯あらすじ◯

主人公は更紗という名前の女性。幼くして父を亡くし、悲しみにくれた母は彼女を置いていった。9歳だった彼女はおばの家で保護された。両親と一緒にのびのびとした家庭環境で育ってきた彼女にとっておばの家の「普通の家庭環境」が窮屈、友達付き合いも上辺だけ、挙げ句の果てにおばの家の中学生男子に毎晩毎晩性的虐待を受けていた。ある日、佐伯文、という19歳の男子大学生に声をかけられる。彼は普段公園でじっと更紗達が遊ぶ様子を見つめるため不審がられ、「ロリコン」と評されていたが、行き場のない彼女は彼についていくことを決意する。世間から見ると「誘拐」であるはずのその生活はおばの家にいるよりずっと楽しくて、自由だった。真面目な母親に育てられた文の生活はちゃんとしていて、かと言って更紗にそれを求めず、文の生活も次第に更紗に影響を受けていく。しかし、文と暮らしてから2ヶ月経過した頃、家から出ずにいることに飽きてしまった更紗は文に動物園にパンダを見に行きたいと言った。もっとよく考えれば分かったはずだが、やはり9歳だった彼女は幼かった。既に「誘拐された更紗ちゃん」として有名になり顔の割れていた彼女を見た来園客が警察へ通報し、あっさりと幸せな日々に幕を下ろした。

警察に捕まった文、家に戻される更紗。

文にもう一度会いたい、と思うとともに、文の幸せを願いながら自分を押し殺し、大人になっていく更紗。ある日、職場の人に連れて行かれたカフェへ行くことになり、そこで彼をみつける。。。

 

ふぅ、あらすじなのに長くなってしまいました。本当は結末まで概要を書いてしまいたい勢いですがやめておきましょう。

 

さて、この作品の感想を一つだけに絞ってみました。(本当はもっといっぱいあるんだけど!)

 

それは、

憶測で誰かを評価するのはやめよう

ということです。

 

 

読む前の知識として「一緒にいることが許されない2人の関係性を描いた物語」とあったので、「不倫とかかなぁ」と敬遠していたのですが、本屋大賞を受賞してどうやら違うらしいと知った私は興味が湧きました。完結に行ってしまうと「誘拐犯と被害者」ということになるんでしょうか。しかしそれは客観的な、なにも知らない外野からの評価であり、本当は正しくありません。

文は更紗に、うちにくる?と聞いただけ。更紗はついて行って自由きままに暮らしていただけ。

それなのに、世間的には誘拐犯と被害者であり、更紗がどんなに違う、文は「そういう人」じゃない、と言っても誰も聞き入れてくれず、犯人になついてしまった幼い少女は精神的に重症な被害を与えられたものと判断した。

更紗ちゃん誘拐事件として大々的に顔写真が公開され、その後の人生でも好奇や哀れみの目にさらされる彼女。

さて、読者はもちろん「事情を知っている」ので他の登場人物に「なにも知らないくせに外野がごちゃごちゃ言いやがって!」と更紗と文の理解者であり、味方のような気持ちになるわけですが、ここが罠です。

この物語は大部分が更紗の視点で語られ、文についても更紗の解釈で読者に届けられています。

しかし、種明かしのように、後半で文視点での更紗との出会いから、「現在」至るまで語られます。そして、読者、というか私は反省することになるのです。

訳知り顔で更紗と文の味方でいる気持ちになっていただけで、私はその他の人たちとなんらかわらなかったのだ、とショックを受けました。更紗も本当のことを知った時はびっくりし、ショックだったと思います。文は「そんな人」じゃない、と言っていた更紗は、文のことを、「小児性愛者だけど、ちゃんとしてて悪いことはしない人」だと思っていたんだから。

 

人の一面を知って語るのも、外野が知らないその人の一面を知っているからと言ってその人のことを全部分かった気でいるのもなんと愚かなことかと思いました。反省。

一面だけ知って、憶測で噂をするだけで傷つく人がいるかもしれないということ。ましてや悪口を言うのは良くない、と身にしみました。

 

ちなみに種明かしされて、まじか、そうだったのか、と一番思った場面は

更紗が「大きくならない子はいないよ」と言った時に文が落ち込んだような傷ついたような態度だったところです。

(小さい女の子が好きだから、女の子が小さいままでいてくれたらいいのになぁ、と思ってたのに更紗がその希望ぶち壊したと私は思いました。。。スミマセン)

 

さて。反省会は終了。

結局、この話はハッピーエンドだったのか?ということについて書いてみようかなと思います。

文からの種明かしをされた更紗は、それでも文のそばにいる決断をします。

文と更紗が本当に分かり合えたところで、やっぱり世間の目はかわらず2人の関係は「誘拐犯と被害者」。歪な関係であり、特に犯罪者扱いの文は仕事につきづらい。

ディズニーみたいな展開なら、世間からの誤解がとけ、文と更紗をもう誰もなんの邪魔もしない!幸せー!!

なんだと思いますがやっぱりそうはいかないですよね。手放しでハッピー!には終わらない。

世間はかわらない。

でも、終章、彼のはなしⅡを読んでいる時の気持ちはなんなんだろう。

「事実と真実は違う、そのことをぼくという当事者以外でわかってくれる人かふたりもいる。」

「もういいだろう?」

「これ以上、なにを望むことがある?」

他人と違うことに苦しみ怯えてきた彼が居場所を手に入れた、安心感。

どこへ流れて行こうと1人ではない。

世間はかわらず生きづらいのに、このなんなんだろう、この幸福感。

読み終わって私は一言、

よかった。。。と手を合わせました。

 

 

いやぁ、これも一日で読んでしまいました。面白かった。本屋大賞ってすごいんですねぇ。。。確かに私も書店員さんだったらいろんな人に読んで欲しいと思うなぁ!

 

それではここまで読んでいただきありがとうございました!