本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ

久々に記事を書きます、まりあです。

ちょっとサボってしまいました。。。

 

今回は知念実希人 著、

「魔弾の射手 天久鷹央の事件カルテ」です。f:id:mochimochi9876:20200216234932j:image

あらすじ〜

とある廃病院で1人の看護師が転落死した。死亡状況や解剖結果から自殺が有力視される中、その看護師の娘だけはそれを頑なに否定した。天久鷹央は彼女の想いに答え、真相を突き止める約束をする。。。。

というお話。語り手は天久鷹央の部下である医師、小鳥遊。自由奔放な鷹央に振り回されながらも信頼し、協力して謎を解き明かす!

 

天久鷹央シリーズはもう何冊も出ているようですね。シリーズ一冊目の天久鷹央の推理カルテ、という短編集は読んだことがあって面白かったな、という記憶はありますが、短編より長編が好きなので天久鷹央シリーズの長編に挑戦!してみたのですが。。。。

 

どうやら、これはシリーズ最新作だったようです。何冊分もスッとばしてしまった。。。なので今まで鷹央が解決した事件のエピソードもちょこちょこ出てきてコレはネタバレ!!と焦りましたが、この作品を読む分には特に困るところはありませんでした。

どれから読んでも困らないように書いてあるんだと思われます。

でもシリーズ最新作なだけあって、主人公と鷹央など登場人物同士の信頼度、親密度は他の作品よりはかなり高めにはなってるんじゃないかなと思います。

自由奔放でワガママで、社会人としての常識もない鷹央に対して、一番最初は振り回されて辟易するだけだって小鳥遊も、シリーズを重ねてだんだんと鷹央に一目置き、こういう人だけどホントはすごい人だから、フォローしてあげないと、協力してあげないと!と気持ちが変わってきているはずで。

その過程をとばしてしまいました!ありゃ!

前に遡ると今作のような信頼関係はないのかなぁと思うと。。。!やっぱり順番に読むに越したことはないですよね。

番号がふってあればよかったかもしれないです。。。

 

 

さて、ミステリー小説の記事はやっぱりネタバレしたくないということで書くのが難しいな、と思いますし、今回も事件の内容について不用意に説明するのは避けたいのですが、

ミステリーとしてだけでなく、「身近な人の突然の死」ということについて強いメッセージが盛り込まれている作品だったのかな、と思ったのでそこらへんについて触れていきます。

 

今回亡くなった看護師は膵臓癌のステージⅣ。それもあって病気を苦に自殺したのではないかと警察も捜査しない方向に向かいます。

(知念実希人氏、「生きる希望をなくしてしまう病気」として膵臓癌ステージⅣ持ってきがちだな、と気になりましたがそれは置いといて)

その娘の言い分では「私を残して自殺するはずがない!膵臓癌だとわかってからも最後まで私と一緒にいてくれると言っていた!」とのことでその強い想いのこもった訴えから鷹央と小鳥遊は自殺ではなく、事件性があるものとして真相究明にあたります。

 

身近な人の突然の死、というのは、今回は殺人事件によるものだから滅多には起こらないものですが、事故だったり病気だったり、ホントは誰にでも、起こりうることですよね。

作中で鷹央はこのように話します。

「今回の件に限らず、死というものは、概して突然やってくるものだ。もちろん癌のようにある程度死期を読める疾患もあるが、それだって確実に言い当てられるものじゃない(中略)

逆に言えば、常に死は身近に潜んでいるということだ。お前にも、もちろん私にもな。(中略)

身近な者を喪うと、誰もが後悔の念を抱くものだ。その人物が生きているうちにらもっとなにかしてあげればよかったと。それを完全に防ぐことはできない。しかし死が身近にあると意識して毎日を過ごすことで、後悔を少なくすることはできるはずだ。まあ、簡単に言うと親しい人物は普段から大切にしておけってことだな」

 

これを読んで、私はコレを思い出しました。。。

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このポスターは「不謹慎だ!」って言うことで炎上してしまいましたね。

確かに「面白おかしい要素」が多すぎたので一般の方々には受け入れられなかったかもしれません。

でも私の印象では多くの医療者たちはこのポスターによるメッセージをしっかり汲んで、存在意義があると考えたと思います。

これくらいインパクトがないと、目に止まらないのです。今回は、うまくみんなに真意が伝わらなかったけど、それくらい、すべての人が普段から死を身近に感じておくべき、と私は考えます。

 

このポスターの小藪さんは「死ぬ側」の後悔が語られています。死ぬ間際になって、もっとこうしたかった、という気持ちが湧いて、それでも伝えられずにもどかしい気持ち!

こんな後悔しないよう、事前に大切な人と話し合っておこうね!というメッセージのポスターになっています。

もしかして、対になるような「看取る側」のポスターもあったらよかったのでしょうか。 

後悔するのは死ぬ側だけではありません。鷹央の言うように看取る側、残された側も後悔することが多いし、どちらかというと残される人たちのためにこそ、死は身近なものだから話し合っておこう、という働きかけが必要だと私は思います。

突然死だけではありません。

高齢化社会ですので、いつ死んでもおかしくない方々もたくさんいるのです。

「うちのおじいちゃんはいつまでも元気だから。。。!」という声も聞かれますが、転んで頭を打ったり心筋梗塞になったりと突然死ぬこともあれば、

肺炎になったり骨折したりと何日かベッドで過ごすだけでも、そのまま、ということもあります。

死だけではありません、入院などの環境の変化で突然認知症がすすむこともあります。話しておかないといけないことがあるのに先延ばしにしていたら、ダメなのです。

このポスターを不謹慎だ!とただ叩いた人たちはちゃんとそれを分かっていたでしょうか。自分も、まわりの人もまさか突然死ぬとは思ってないですが、本当に大事なことだったのに、と思います。

「人生会議」のポスターがまたリベンジを果たしてくれることを願います。

 

 

あれ?なんかだいぶ話が逸れましたね。

でもまぁミステリーはミステリーとして面白い小説でしたが、身近な人の突然の死が誰にでも起こりうる!ということは大事なことだと思うので、そこらへんもこの小説を読んだ人達の心に留まって欲しいなと思いました。

 

さて、ラストの謎解きのトリックは納得できるかできないかは別として、結末はかなり読後感の良いお話だったと思います。

実は先月知念実希人氏の「誘拐遊戯」を読んだ時は読後感が悪くて、少し心配していました。ブログの記事も途中まで書いたけど結局アップしなかったな。

結末に救いがなさすぎてショックでした。ミステリー小説は事件の真相がわかるだけじゃなくて、真相が明かされることで誰かが救われないといけないと思うんですよね(あくまでも個人の意見ですが!)

やっぱり真相が明かされて、登場人物が前を向いて歩いくような結末がいいなと思いました。

あっこれはネタバレになるのでしょうか??やばいやばい。

 

ということでボロが出始めたのでこの記事は終わります!

おやすみなさい〜