本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

AX

こんばんは!

「AX 」 伊坂幸太郎 著

1日で読み終わってしまったためすぐにブログを更新しています!

マリアビートルよりも200ページくらい少ないし、今日はほぼお休みだったので、まぁ予想の範囲内ではありますが、やっぱり面白くて止まりませんでした。

 

◯あらすじ◯

腕利きの殺し屋、「兜」は家では妻に頭が上がらない、いわゆる恐妻家であった。

殺し屋家業については家族には内緒で、一人息子が生まれてからというものの、足を洗いたい、と思っていた。しかし、仲介屋からは、もっと仕事をして稼がないと辞めさせられないという。妻に尻にしかれながら仕事を辞めるために仕事をする日々を送る兜。愛する家族のため、彼は仕事を辞めることができるのか??

 

というお話。

同じく殺し屋がメインのお話ではあるものの、マリアビートルは違い視点は主に兜、という男一人。

表向きはサラリーマンの仕事をしながら、内緒で殺し屋家業を営んでいるが、やめたい!のにやめられない!という状況を打破できるかどうか?というお話でした。

書影もなんだかどんよりとした曇り空だし、殺し屋のお話なので殺伐とした雰囲気なのかな?と思ってましたが

主人公の行動の中心が息子と妻、つまり家族であり、家族とのシーンが半分を占めるためそこまで殺伐としている様子はなかったです。

いや、殺伐とは、してたかな。

というのも、この主人公の殺し屋以外のもう一つの顔が、恐妻家。

妻が怖い、理不尽。

機嫌の良し悪しで振り回されるし。物語の半分以上が妻に怯え、なんとか機嫌をとろうとする彼なんじゃないかと思うくらい。

 

ひとつだけエピソードを挙げるとすると、

彼がクリーニングに妻のコートを出しに来たところ、コートとベルトは別料金だがどうするか、と聞かれてしまう。

普通であれば、自分で判断する。

ベルトは洗わない、もしくは洗ってもらう。もし妻と意見が分かれたとしても、それは出しに来た彼が判断して、あとで妻に事情を伝えれば、そんな些細なことで目くじらは立たない、はず。

でも彼は違う、間違った判断をすれば怒られるのがわかっている。正解は、もしかしたら妻の機嫌によっても違ってくるかもしれない。

そこで一緒に来ていた息子からアドバイスされる。「電話して聞いてみたらどうか?」

しかし、「そんなことで電話してこないでちょうだい」と怒られることを予想し、彼はベルトをクリーニングに出して別料金をポケットマネーから出すことを選択し、別料金である事実を妻に隠すことにしました。

 

 

このエピソード以外にも妻の機嫌をいかに損ねないか、どうしたら一番いい状況を作れるか思案し、妻が声をかけるとビクビクしたりお腹を痛くしたりしている様子がえがかれています。

私も、一緒にお腹が痛くなりました。

この妻。。。3月までの職場の上司にそっくりだし、妻に対する主人公の考え方や態度が私達にそっくりなのです。

この話はクリーニングだからいいです。でも、仕事で同じことを想像して欲しい。

仕事だから、おそらくこうした方がいい、という自分の考えはある。

でも上司はこう考えるかもしれない。機嫌、気分によって上司にとっての正解が変わる可能性がある。電話する、という選択肢も勿論思いつく。でも「そんな些細なことで電話してこないで」と言われる可能性も十分にある。(しかしなんで電話してこなかったのかと言われる可能性もある)

わかっている、こんな些細なことで電話するのはおかしいとおもうのだが、そんな些細なことで怒る人がいるから電話するかどうか迷っているのだ。

そして我々は結局無難な後腐れのない選択肢を見つけて、上司には黙っておこうと結束する。

 

わー!お腹痛い。無理。

もうあの職場には戻りたくありません。

 

あれ?いつのまにか自分の話になってしまいました。いずれにせよ、主人公には共感できるところが多くあったのですが、主人公と私との間に決定的な違いがあります。

そこに愛があるか、どうか。

主人公はこんなに虐げられても、彼女を愛している。私はそこには共感できませんでしたが、結婚する、というのはそういうことなんでしょう(?)

世の中にはこんなふうに虐げられている夫、お父さんはいっぱいいるのでしょうか。女性はこの本を読んで、こうはならないぞ!と反面教師にしてほしいですね。

ていうか上司に読ませたい。多分この妻と自分が同じとは思わないだろうけど。。

 

 

という感じでお腹痛くなりましたが、

物語の展開としてはやっぱり面白くて止まりませんでした。

家族のために奮闘する主人公はかっこいいし、マリアビートルほど得体の知れない悪意に触れることもなかったし、大方の人は心安らかに?読めるんじゃないでしょうか。

ここまできたらやっぱりグラスホッパーも早く読みたいですね。

このご時世で本屋さんにも行けないし、もうちょっと我慢して手持ちの本を読むことにしたいと思います。

それでは、おやすみなさい。