本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

ウツボカズラの甘い息

こんにちは〜!また一冊読み終えました〜丁度一週間くらいかな?

 

今回は「ウツボカズラの甘い息」

柚月裕子 著です。

この方も今回が初めまして、です。本屋さんで手にとったきっかけは、店員さん?のポップと共に取り上げて並べられていたからです。

確かそのポップの内容は、「この本めっちゃ面白いけど人間こわい!同窓会に妻が行こうとしたら止めると思う!あと、この本をあらわすキャッチコピーが自分には思いつかない!でも読んでみて!!」

みたいな感じだったと思います。

最近多くないですか?諦め系のポップ。確かに最初は斬新だなと思いましたが、めちゃくちゃ頭を悩ませた結果それだとしたら残念だし、言ってみれば最初から考えなくてもその手を使えばいいわけですよね。。。

そもそもポップと言えるのかどうか不明、ずらずら文字書いてるだけだし、Twitterみたいに文字数制限もない。なんだこれはーーー!!!

 

と思いつつ、あらすじを読んだら面白そうだったので買いました。なんだかんだケチをつけられたけどその書店員さんが勝利を掴んだ訳です。

 

◯あらすじ◯

主人公はごく一般的な主婦、高村文絵。決して多くない夫の稼ぎで娘2人を育て、家事にいそしむ彼女には自分の美容や服装に気を使う余裕なんてどこにもなかった。不満を日々つもらせる中、ある日いつの間にか応募していたらしい懸賞でディナーショーのチケットを手に入れる。せっかく当たったし、とチケットを手に一人で出かけた文絵は、その帰りに中学校の同級生、加奈子に出会う。加奈子は文絵に昔言われた一言で救われた、今の私があるのはあなたのおかげだから恩返しをしたい、と言う。身に覚えのない昔話と、恩返しとして誘われた化粧品を売る仕事に、最初は不審がりながらも大金と自信を与えられた文絵は次第に加奈子をすっかり信用していた。しかし、ある日を境に事態は一点する。加奈子が少し日本を離れる、と言ってから消息を断ち、携帯電話に知らない番号からかかってくる電話に怯え、そうしているうちに警察が家に訪ねてきて、殺人事件の重要参考人にされてしまう。罠にはめられたと思った時はもう、遅い。甘い香りに誘われて足を入れたが最後、ウツボカズラからは出られないのだ。。。。

 

という感じでございます。

私はいつも本の裏表紙のあらすじも参考にしながらこのあらすじを書いているのですが(めんどくさい時は引用させていただいている)

 

読んだ後に読むと、なるほどすごくよくまとまってるな、と感心することもあるし、ちょっと話の内容と違うんじゃない?この話のメインテーマはそこじゃないんじゃない??と思うこともあります。

 

私の書くあらすじは文字数の制限がないからほんとに自由だなぁと思います。

でも本の裏表紙に載っているあらすじは、何文字で書いてくださいってお願いされてまとめたものですよね。

この作品でいうと、だいたい160字くらい。私がだらだらと書いた500字と比べてもスッキリしています。すごいなぁ。

ちなみにこの作品のあらすじと解説を書いているのは松井玲奈さんです。解説もスッキリしていて読みやすかったです。

 

それに比べて、冒頭で話題にしたポップはというと自由作文のくせに(くせに!笑)作品のテーマからはちょっとずれているような気がしました。買う人を惹きつけるためだけに考えたんでしょうね、書店だから売りたいのはわかるんだけど、ちょっと違うかなぁ。。。。

まぁ今回は私が引っかかったのでこの書店員さんの勝利です(悔しいので何度でも言います)

 

さて、この作品のメインテーマは

1.欲望は人を破滅させる

2.当たり前の生活は突然当たり前でなくなる、ということ。

主人公文絵、ではなく、その文絵が巻き込まれる殺人事件の捜査を行う刑事の秦目線で描かれた部分から引用します。

 

人の欲は、限りがない。

多くのものを求めすぎていたと気づくのは、当たり前が失うときだ。

当たり前の健康、当たり前の三度の食事、当たり前の寝床、それまで当たり前にあると思っていたなにかが崩れ去ったとき、人は真に大切なにかに気づく。

 

これは、秦が事件の真犯人に近づき、その犯人像が人の欲望につけこみ、さらに自分の欲を満たすために殺人をも犯していると知り怒りに心を震わせているシーンの考え。秦の妻が脳卒中で倒れてそのまま昏睡状態で入院してしまい、当たり前にできていたことができなくなった妻と、これから当たり前に妻と過ごすはずだった日々を背景に、「当たり前は突然当たり前でなくなる」ことを実感しているようでした。

 

当たり前の生活が突如崩れたのは文絵や、真犯人に殺された人もそう。

そして真犯人自身もそうだったのでしょう。

欲望につけ込まれ、騙されて、当たり前の生活を失う。

人間の愚かさ、恐ろしさを描いた小説でした。

私もお金は大好きだけど、甘い話に騙されないように、堅実に生きていこう!!

最近投資とか株とかの勉強とかしてみようかなって思ったけどやめようかなぁ。。。逆に、騙されないように勉強するべき??

 

個人的に、松井玲奈さんの解説も含めておすすめの一冊。

書店員さんのポップにめちゃくちゃ文句を言ってしまいましたが、私を罠にひっかけてくれたこの方には感謝しています🙏🙏🙏

解説の中で、何度も読み返してあのシーンはこうだったのか、と気づく、みたいなことが書いてあったので私ももうちょっと気になるところを振り返って読んでみようかなと思います。

それではここまでお読みいただきありがとうございます。お疲れ様でした。