本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

オーダーメイド殺人クラブ

みなさんこんばんは!ちょっとテンションが低めのまりあです。

今回は辻村深月 著、オーダーメイド殺人クラブです。

読了ツイートでも書きましたが、著者の作品はこれが2冊目、

1冊目はかがみの孤城。気になりながら、読んだことない方の本だし、文庫本になるの待とうかな、

と思ってたんだけど、直感で、絶対面白いから買おうと思って読みました。

直感はものすごく当たって、4割くらい読んだところから展開がものすごく気になって一気に読んだのを思い出します。

 

さて、今回の作品のあらすじはというと

クラスのヒエラルキー上位、に位置するはずの中学2年生の小林アン。わがままでまわりを振り回すのが得意な女子と仲良し、という立ち位置だ。でも本当に興味があるのは、死とか、猟奇的なもの、例えば自らの片腕が水槽に浮かぶのをじっとみつめる少女の人形の写真とか、どこかの学校で起こる少年Aによる殺人事件とか。自分の趣味は友人にも、母親にも、わからないだろう、センスがないから。友人や母親との関係にイライラしながら、日に日に死への憧れを強くするアンは、ある日、ナニカの死体の入ったビニール袋を蹴っているクラスメイトを目撃する。彼はとなりの席の徳川というヒエラルキー下層の男子。本当なら話をするなんて想像もつかなかった相手に、アンはこう確信する。彼なら私を殺してくれる。こうして、アンたちはオーダーメイドの殺人を企てていく。これは、悲劇の記憶である。

 

と、こんな感じです。

この本は、ネタバレなしで感想を描くのが難しいので最初からネタバレするつもりで書こうとおもいます。

面白かったけど、私の読み方が間違っていて、どうしてもモヤモヤするから、書かせてほしい。

 

 

 

 

 

 

まず、これは私がどんでん返し、とか衝撃のラスト!とかが好きっていう好みの問題のせいだから、仕方ないと思うんですけど、

私はこの作品も私を裏切ってくれるのかと思っていました。

かがみの孤城も、人間関係に悩む女子の物語でしたが、あちらは彼女に救いの世界があって、ファンタジー要素がありました。

今回は、普通の中学校が舞台で、ファンタジー要素はありません。普通に考えて、実際に主人公が殺されることはないだろうと思っていました。

いろんな出来事が起こるたびに、あ、これは計画をあきらめるんじゃないか、逃げるんじゃないか、

ほら、やっぱり中学生が実際に殺したり殺されたりすることなんかできるわけないじゃないか。と思いつつ、

それでも計画を続ける2人に、あれ?本当はやっぱり死ぬのか?と考えました。

つまり、私の一番の注目点はちゃんと死ぬのか、やっぱり死なないのか、ということで、

私を裏切る展開というのは、ちゃんと死ぬ展開だったんです。

 

ここで結末を言ってしまいます、私のここまでの書き方からわかってしまうかもしれないけど

 

 

 

やはり死ねないのです。

実際の私の予想では、アンが逃げ出す、さまざまな理由をつけて拒否すると思っていたのですが、

殺せるよ、と飄々としていた徳川が約束の日に、殺せないと言いました。

なにかが起こるたびに、逃げ腰になっていたアンに本気じゃないならやめるぞ、殺すのはお前じゃない、

お前なんか殺す価値もないとまで言っていた時、

彼もまた、アンを殺したくなくて、このままアンがやっぱり無理だと思って欲しがっていたのだと知り、

心底失望しました。

 

何度もいいますが、この本の趣旨とはまったく違った読み方をしていたのです。

だって、文庫本の裏表紙のあらすじの最後にはちゃんと

『少年少女の痛切な心理を直木賞作家が丹念に描く、青春小説』って書いてあったのです。

青春小説、ですよ。ミステリーとかホラーとかじゃなくて、青春小説。

最初から死ぬのか、死なないのかが論点ではなく、一貫して登場人物の心情に注目する物語だったのです。

そして本編が終了してから、大槻ケンヂさんの書いた解説を読んで衝撃をうけました。

  『ざっくり言ってしまえば、中二病同士の恋愛はかくもまわりくどい、というお話。』

 

ざ、ざっくりすぎる。本当にそれでいいの??

私は読んでる間中、アンの母親や先生に対する反抗期による態度だとか、友人とのやりとりで傷つく様子だとか、

中学生っぽい、こどもっぽいところに少しイライラしていました。

なんだ、こんな重大な出来事を起こそうとしているけど、やっぱり子供じゃん。

猟奇的な部分を本質としてはいるけど、まだ中学生らしいところもある、みたいなギャップというか、

対比というか、そういうのだと思っていたのに、

猟奇的な部分でさえ、中二病で片付けられるものだったのか?!

死とか猟奇的なことに興味がある、という彼らの嗜好を中二病で片付けるの?!

でも、解説にそう書いてあるし、それが世にたくさん出回っているのだから、それで納得する人もいるんだろうな。

そう思ってモヤモヤしました。

 

しかし、この話を中二病の中学二年生の青春恋物語♡で片付けても、いいのかな、と思う点が3つありますので、

その3点を書いてこのモヤモヤを消化させます。

 

1つ目は、本書の冒頭の『これは、悲劇の記憶 である。』というフレーズが、

彼女達がただ単なる厨二病だった、とすることで陳腐なものになりさがるような気がして、それでいいの?と思うこと。

このフレーズは、アンがなんとなく雰囲気のある、大事にしていたノートに

このオーダーメイド殺人を企てる計画書にしたとき、最初に書いたもの。

たしかに、中二病だwwwと思ってこの本を最初から最後まで読むと、そうなのかもしれないけど、

そうすると悲劇の記憶=黒歴史ということになります。

これは、黒歴史です、って考えたらものすごく間抜けではないでしょうか。

もし、計画が遂行されていたら、このフレーズはおそらくカッコイイものだったのかもしれないし、

計画が遂行されていなくても、中二病だって思わなければ

遂行されなかったけれど、これはたしかに私が死のうと思っていた証なんだ、それほどまでに、人間関係につかれて、追い詰められていただんだ。でも、遂行されなかったから、悲しい、記憶なんだ。と思えていたのに、

中二病だったから死のうと思ってましたwwまじ黒歴史wwみたいなフレーズに落ちぶれてしまって残念だな、と思いました。

もしかして、著者最初からこのフレーズを趣深いものから、陳腐なものに陥れる覚悟でいたのでしょうか。。。。?

 

2つ目は、では、徳川がビニール袋に入れて、蹴っていたのはなんだったのか?という点。

仮説1、本当に猫の切り刻んだ死体をビニール袋に入れて、蹴っていた。

そうすると、厨二病で済ませるのはちょっとアレじゃないでしょうか?アレっていうか、ダメでは。

厨二病だからといってやっていいことと悪いことがあるだろ!となる。

本当にこれだったら、厨二病同士の恋はツンデレwwとか言ってられないから、これではないと信じたい。

 

仮説2、実は本当はスーパーで買った肉を蹴っていただけ。

待て待て待て、かっこ悪い!スーパーで買った生肉、蹴ってる俺、カッコいいと思うかな?!

それでアンに、あれは実は猫だよ、引いた?って聞くのはださい。

まぁでも、どす黒い液体も出てたし、おそらく新鮮な生肉ではないと思うので食べ物を粗末にしたわけではなさそう。

 

仮説3、やっぱりネズミだった。

猫じゃなくてネズミだったらいい、蹴ってもいい。

とはならない。彼にとって、人間にとって、害獣だったから殺すしかなかったかもしれないけど、

蹴っていい理由にはならない。

 

うーん。、、、、思いつかない。中身がなんであれ、蹴っていい理由が見つからない。

これはやっぱりモヤモヤポイント。

 

そして3つ目。これも2つ目のモヤモヤと似ているんですけど、学校が怖すぎる。

アンはヒエラルキーの高い女子として、中心人物である芹奈という女の子と、

自分と同じような立ち位置の女の子、倖と3人グループで過ごしているが、

芹奈の機嫌を損ねると無視される。それがアンだったり、倖だったりどちらでも可能性があり、

いつのまにか関係が修復したりする。

物語が進むにつれて、徹底的にアンがのけものにされ、水着を隠されるまでに至る。

こういう、友達との関係がうまくいかず、学校を休みたくなるような話を読むと、

どうしてこんなに残酷な世界があるんだろう、と思う。

そのくせ、最後は何事もなかったように、仲良しに戻る。

この本を読んだ時も、なんとなく納得させられてふぅ、良い話で終わったな、と思いましたが、

あれ?やっぱり納得がいかない。

どんなに終わり方が心あたたまる感じになっても、あの仲間ハズレにされて、嫌な気持ちで、

私はあと2ヶ月で死ねるから大丈夫!だから学校にいく!みたいな日々はなかったことにはならないはずなのに。

誰もがそういう中学生時代を味わっているから、まぁみんなそうだったよね、戻りたくないね、

で終わってしまうの?

 

私はどうしても、納得がいかない。

どうしてささいなことで悪口を言ったり仲間ハズレにしたりした後に、

一言ごめんで関係が修復できるの?それでいいと思ってるの?

 

私はそういう仲間はずれにされたり意地悪をされなくてよかったな、と思うけど、

ヒエラルキーみたいなのはやっぱりやんわりと存在してて、なぜか特に問題なく乗り切ったんだよなぁ、

もし頭が悪かったら,いじめられてたのかなぁ、太ってたし。。。

実際どうやって乗り切ったのかさっぱり分からないし、

いもしない自分の子供が、どうやったらいじめられずに学校生活を乗り切れるだろうかと心配になる。

 

こういう一触即発な人間関係って、思春期だからぶつかりうこともあるよね、で片付けていいのだろうか?

そもそもぶつかり合う、とか対等ならいいけど、ただ一方的に一人だけ標的にするようなのは、

な句ならないといけないのに、解決しない。

本当は死ぬ気がないにしても、あと2ヶ月で死ぬから大丈夫って思いながら学校にいくような子が

いるべきじゃない、と思います。

 

 

 

ということで、後味はモヤモヤでした。ほんとに、私の読み方が最初から最後までずれてただけなんですけど。

まだ2作目なので、もっとこの著者のほかの作品も読んでみたら、また感想が変わってくるかもしれないなとも

思っています。舞台は学校じゃない方がいいなぁ。。。ハケンアニメ!とかが気になります。

 

それでは、今週も平日はあと1日!頑張りましょう〜