本を読むとすぐに感化される人の読書記録

読んだ本の記録がなんとなく誰かの目に触れてほしい気がする。

残り全部バケーション

こんばんは!本日から勝手に祭りを始めました!まりあです。
題して、まりあの伊坂祭り!いえーい。
ただただ伊坂幸太郎さんの作品を連続で10作品読むだけ。


今まで気分で本を選んできましたが、こういう縛り、みたいなやつやってみたかったんですよね!フォロワーさんの真似っこではありますが、便乗したいと思います!

 

ということで記念すべき?1作品目!
「残り全部バケーション」!
なんとも素敵な響きです、残り、全部、バケーション。

 

さて、こちらは連作?短編集。
主にあくどい仕事で生計を立てる二人の男、岡田と溝口の周りで巻き起こる小さな事件についてのお話が5つ。
表題作の「残り全部バケーション」はこの2人のコンビ解消とある家族の解散の物語。
先輩である溝口に、この仕事を辞めたい、と打ち明け、ある条件を出される岡田。
適当な番号宛でメール(SNS)を送信して、その相手と友達になることだ。
相手は40代の男、とその妻と娘の3人家族。なんでも男の浮気が原因で離婚することになり、今日が家族解散の前の最後の日らしい。岡田と、家族の奇妙なドライブは一体どうなる?

というお話。


他のお話は、岡田と溝口のコンビ解消より前の普段の日常で、岡田がちょっとイイコトをする話だったり、岡田の小学生時代の話だったり、時系列は様々だが、伊坂幸太郎のいつもの短編集のごとく、それぞれのお話がちょっとずつ繋がる構成です。

 

短編集の1つ1つの終わり方はあっさりとしていて、読者の想像に委ねられています。
私はもう少ししっかりと「こうなりました!」って教えて欲しいタイプではありますが、
この1冊全体で見ると、それまでの短編の最後を濁してきたのもすべて伏線のうちのような気がする。そして最後の5章、飛べても8分でしっかり回収しているので、逆にその他の章はこれくらいあっさりで良かったのかも?と思いました。

 

さて、今回はこの本の一部で、私が気になった、心に残った部分、を紹介していきたいと思います。

 

①第四章 小さな兵隊より
「先生だって、家に帰れば、テレビを見るだろうし、マクドナルドにも行くよ。『明日からまた仕事だ、かったるいな』と思ったりもするだろうし」


これは小学四年生の岡田の言葉。
私は小学生の頃の担任の先生が、明日も仕事だ、かったるいなと思っているところを想像したり、中学生の教師をしている両親も、そう思っているだろうなと思ったりしました。
教師もそうだし、医者も、看護師も、消防士も、警察官も、そうだと思う。

教師なんだからいつも生徒のことを考えているべき。
医者や看護師は患者を第一に考えるべき。

2年前の上司が、前から決まっていた期間に夏休みを取った時、患者さんの奥さんに「主人がこんなに大変な時に主治医が夏休みを取るの?」って言われた、というエピソードを教えてくれた。
その患者さんの気持ちはわからんでもないけど、でも、
上司はあなたの主治医である前に2児の母でもあるからね。
そんなことは知らないだろうけど、医者には代わりがいても、お母さんに代わりはいない。


その奥さんや、「消防士や警察官がコンビニで水を買っていました!」と騒ぎ立てる人たちは、この岡田の言葉をどう受け止めるんだろうか。
きっと、そういう人に限ってこの部分を当たり前のことを言ってると思ってなんの気なしに、読み流すんだろうなと思う。偏見だけど。


②第五章 飛べても8分 より
飛んだら八分、歩いて十分

初めてきくフレーズですが、とんでもない!という意味らしいです。
せっかく飛べても8分、歩くのと2分しか変わらないんですね、という高田という後輩に溝口は、2分しか変わらなくても、飛べるなら、飛びたいじゃねぇか、という。

たしかに、飛べるなら、そっちの方が楽しそうですよね。
ディズニーランド とか、シーとか、ちょっとパーク内を移動してくれる電車に、並んで乗るみたいなことでしょうか。
歩いてもいけるけど、どうせなら、パーク内を走っているあの電車に乗るのも悪くない。
毎回は、乗らないけど。

ゴールは一緒。かかる時間もそれほど変わらない。それでも、この道を、せっかくだからこの手段で。
タイトルにもなっているこのフレーズに、どれだけの意味があるのか私にはわかりませんが、なんとなく面白くて深イイ気がしました笑

 

さて、まりあの伊坂祭り!まだまだ続きます!